研究課題/領域番号 |
23K07217
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 鈴鹿医療科学大学 |
研究代表者 |
山下 剛範 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 准教授 (10410937)
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研究分担者 |
有馬 寧 鈴鹿医療科学大学, 医療科学研究科, 教授 (30263015)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | タウリン / 放射線損傷緩和 / タウリントランスポーター / 放射線影響緩和 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、放射線曝露後のマウスに対するタウリン投与が、High Mobility Group Box 1(HMGB1) / toll-like receptor 4 (TLR4) ならびにTGF-β/small mother against decapentaplegic (Smad) シグナル伝達経路に与える影響を免疫組織化学およびPCRを用いた組織/ 遺伝子発現解析を通じて、放射線曝露による細胞損傷をタウリンが緩和するシグナル伝達経路を明らかにするものである。 ヒトへの放射線被ばく影響ならびにがん治療による有害事象の緩和にタウリンを応用するための研究基盤を確立することが目的である。
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研究実績の概要 |
放射線曝露による細胞損傷をタウリンが緩和するシグナル伝達経路を解明することは、新たな創薬開発につながることから非常に重要である。本研究の目的は、ヒトへの放射線被ばく影響ならびにがん治療による有害事象の緩和にタウリンを応用するための研究基盤を確立することである。TGF-βよって媒介されるシグナル伝達は、臓器線維症や癌などの疾患の進行プロセスに不可欠な経路の1つでることが知られている。肺がんの放射線治療では肺繊維症など放射線誘発性肺障害の発生が問題となっており、放射線曝露による正常組織の損傷を低減することができる安全で有効な創薬の開発が急務である。 令和5年度は、「タウリンが放射線誘発性肺障害の緩和をもたらす機構」を明らかにすべく、胸部放射線曝露モデルマウスを用いて病理組織学的分析を行った。 実験群は非照射群、照射群、照射後タウリン投与群とした。放射線曝露後の肺臓炎、肺繊維化の程度を病理組織学的手法により比較解析した。その結果、照射群は、肺臓炎が増加した。しかし照射後タウリン投与群は肺臓炎の程度が減少していた。また照射群に比較し、照射後タウリン投与群は肺繊維化が減少することを見出した。本研究から、放射線曝露による細胞損傷をタウリンが緩和する機構にはTGF-βよって媒介されるシグナル伝達が関与する可能性が示唆された。この研究結果は令和6年3月2日に開催された第10回国際タウリン研究会にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TGF-βよって媒介されるシグナル伝達は、臓器線維症や癌などの疾患の進行プロセススに不可欠な経路の1つでることが知られている。今回の研究成果より放射線曝露による細胞損傷をタウリンが緩和する機構にはTGF-βよって媒介されるシグナル伝達が関連する可能性が示唆された。現在、HMGB1 / TLR4 経路について解析準備を進めており順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
放射線曝露による細胞損傷は、①HMGB1 / TLR4 経路、②TGF-β/ Smad 経路を含む複数のシグナル伝達経路によって媒介されるが、放射線曝露後のタウリン投与が ①②のシグナル伝達経路にどのような変化をもたらすのかについては未だ明らかではない。 そこで、本年度は放射線曝露による細胞損傷をタウリンが緩和するHMGB1 / TLR4 経路を組織学的に解析に解析し、放射線曝露による細胞損傷をタウリンが緩和するシグナル伝達経路を解明する予定である。
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