研究課題/領域番号 |
23K07219
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
瀬川 麻里子 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター, 研究職 (00435603)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 放射線計測 / 放射線測定 |
研究開始時の研究の概要 |
α線を放出する医療用RIは、患者に投与後がんに集積し、崩壊を繰り返してα線を放出する。もし崩壊後のRIががん細胞近くにとどまっていれば、α線は繰り返しがん細胞を攻撃可能となり、極めて高い治療効果が期待できる。この治療効果を見積もるには、複数細胞内の場所と線量についての情報取得が不可欠であるため、本研究ではα線の直進成分のみ取出し可能な、α線用高精細グリッドを含む撮像システムを構築し、高解像でα線分布の定量可視化分析が可能な技術を開発する。
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研究実績の概要 |
本研究では、難治性の悪性腫瘍に対する治療効果の高いα線を活用したRI内用療法の実用化を目指し、ナノインプリンティング技術を応用した高解像度α線イメージング技術の開発を行った。近年注目されているα線放出核種を利用したRI内用療法において、従来のα線イメージング技術では複数細胞内の分布を正確に評価することが難しいため、以下のアプローチで課題の解決を目指した。 ①α線用高精細グリッドの開発:高分解能グリッドの開発を行い、α線の直進成分のみを取り出す。②ZnS(Ag)シンチレーター+モスアイフィルターの開発:新素材のモスアイフィルターを組み合わせたシンチレーターを開発し、光量を増やし分解能を向上させる。 α線用高精細グリッドの開発において型となるモールドの設計が必要であるため、本年度はPHITSを用いてグリッドの素材、ピッチ・深さをパラメータとしたシミュレーションを行い、分解能を劣化させない直進成分のα線のみを選択的に取り出せる深さ(例えばAl2O3では5μm)、ピッチ(同500nm)を求めた。しかし、ナノインプリンティング技術上の製作限界があり、上記の設計では著しく歩留まりが低下する事が判明した。そこで、シミュレーションによる検討をさらに進め、板状Au(深さ11μm)の上に櫛状グリッド(深さ500nm程度)を組み合わせることでグリッドとしての性能を大きく低下させる事なくモールドが製作可能であるとの結果を得て研究を進展させた。次に、ZnS(Ag)シンチレーター+モスアイフィルターの開発においては、モスアイフィルターを選定した。これらの取り組みにより、高解像度α線イメージング技術の開発に向けて研究を前進させ来年度の実証試験に向けた道筋を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
α線用高精細グリッド用モールド設計のため、ピッチ・深さをパラメータとしてシミュレーションを行い、分解能を劣化させない直進成分のα線のみを選択的に取り出せる深さ、ピッチを求めた。しかし、ピッチに対する深さには製作限界があり、上記の設計では著しく歩留まりが低下する事が判明した。そこで、シミュレーションによる検討をさらに進め、板状スレートの上に櫛状グリッドを組み合わせることでグリッドとしての性能を大きく低下させる事なくモールドが製作可能であるとの結果を得て研究を進展させた。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度の研究推進については、以下のように予定している。
①α線用高精細グリッドの開発においては、シミュレーションに基づき設計したモールドから試験的に1cm角程度の小型グリッドを試験的に製作し、その評価を行う。 ②ZnS(Ag)シンチレーター+モスアイフィルター:選定したモスアイフィルターの突起が無い面にZnS(Ag)シンチレーターを塗布した新構成のシンチレーターを製作する。このモスアイフィルター付きZnS(Ag)シンチレーターの光量及び分解能も評価する。 ③光学顕微鏡によるイメージングシステム:モスアイフィルターを透過した蛍光を1000倍以上の光学顕微鏡により逐次観察し、可視化するシステムの開発に着手する。①、②に基づき、取得済みの光学顕微鏡を基盤とし、視野角1~5㎝程度のシステムを構築する。
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