研究課題/領域番号 |
23K07233
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
横山 和明 帝京大学, 薬学部, 教授 (50246021)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 副腎白質ジストロフィー / リピドミクス / スフィンゴ糖脂質 / 質量分析 / LC-MS / 網羅的解析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的はペルオキシソーム病の副腎白質ジストロフィー(adrenoleukodystrophy; ALD)大脳剖検サンプルで見出したスフィンゴ糖脂質分子が、本疾患の後天的な発症を規定する因子なのではないか、という問いを明らかにすることである。申請時点で対照が解析できていないが、代謝的に健常なヒト大脳ホルマリン切片が入手可能であるため、ここからのスフィンゴ糖脂質解析系を確立する。さらに神経系細胞やALDモデル細胞を用いて解析することにより、代謝経路と生合成経路についても明らかにする。これにより発症機序を解明することで、発症の診断マーカーと創薬ターゲットへの展開を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究はペルオキシソーム病である副腎白質ジストロフィー(adrenoleukodystrophy; ALD)の大脳剖検サンプルで見出したスフィンゴ糖脂質分子が、本疾患の後天的な発症を規定する因子なのではないか、という問いを明らかにするものである。本疾患の原因遺伝子欠損マウスでは発症が再現できないが、これらのスフィンゴ糖脂質分子種がKOマウスの大脳には存在しないことから、これらが発症を規定する因子である可能性が高いと考えられる。さらに細胞レベルでの解析を行うことにより、代謝経路と生合成経路についても明らかにする。これにより発症機序を解明することで、発症の診断マーカーと創薬ターゲットへの展開を目指す。 1)マウス大脳を用いたホルマリン処理切片中のスフィンゴ糖脂質解析法の確立については実施中である。ただしこの解析はそもそもALD患者脳の凍結試料の対照としてホルマリン処理された健常者(代謝的に本疾患でない)脳が入手可能であったことから実施している。これと並行して健常者脳の凍結試料の入手の可能性についても検討している。こちらが得られた場合には2の解析は化学修飾の恐れがない凍結試料により行う方針である。 2)ヒト大脳ホルマリン切片中のスフィンゴ糖脂質のLC-MSによる網羅的リピドミクス解析については、TriVersa NanoMate装置により、LC分離後分取画分の質量分析計Q-Exactiveへの持続注入による高感度構造解析法の条件検討を進めている。 3)中枢神経系培養細胞株のスフィンゴ糖脂質のLC-MSによる網羅的リピドミクス解析については、対象細胞株について調査が完了した。 4)ALDモデル細胞におけるスフィンゴ糖脂質代謝と生合成酵素の解析については、3の結果を受けて実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1)マウス大脳を用いたホルマリン処理切片中のスフィンゴ糖脂質解析法の確立については、ヒト脳のホルマリン処理試料の解析のための条件検討として、マウス大脳をホルマリン処理し、メタノール、クロロホルム+メタノール、イソプロパノール+ヘキサンによる脂質抽出法を検討した。まず量の多い脂質として、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、コレステロールエステル(CE)について検討したところ、PC、CEのLC-MS解析のシグナルは良好であった。一方PEのシグナルは検出されず、分子中のアミノ基がホルムアルデヒドにより化学反応による修飾を受けたものと思われた。より微量なスフィンゴ糖脂質については検討中である。 2)ヒト大脳ホルマリン切片中のスフィンゴ糖脂質のLC-MSによる網羅的リピドミクス解析については、マウス脳試料を用いて、TriVersa NanoMate装置により、LC分離後分取画分の質量分析計Q-Exactiveへの持続注入による高感度構造解析法の条件検討を進めている。 3)中枢神経系培養細胞株のスフィンゴ糖脂質のLC-MSによる網羅的リピドミクス解析については、まず候補となるヒト中枢神経系培養細胞株の候補を調査し、本疾患原因遺伝子ABCD1の産物であるALDPの発現が報告されているグリア芽腫T98G 、アストロサイトーマU-251 MG、グリア芽腫・アストロサイトーマU-87 MGを選定した。 4)ALDモデル細胞におけるスフィンゴ糖脂質代謝と生合成酵素の解析については、3の結果を受けて実施する。
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今後の研究の推進方策 |
1)マウス大脳を用いたホルマリン処理切片中のスフィンゴ糖脂質解析法の確立については、健常者脳の凍結試料を得られる可能性があり、入手できればそちらに切り替えて2の解析へ進める。 2)ヒト大脳ホルマリン切片中のスフィンゴ糖脂質のLC-MSによる網羅的リピドミクス解析については、引き続き計画通り実施する。 3)中枢神経系培養細胞株のスフィンゴ糖脂質のLC-MSによる網羅的リピドミクス解析については、細胞の選定が終わったので、実際に入手し解析を進める。 4)ALDモデル細胞におけるスフィンゴ糖脂質代謝と生合成酵素の解析については、3の結果を受けて実施する。
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