研究課題/領域番号 |
23K07238
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
後藤 憲志 久留米大学, 医学部, 講師 (90572313)
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研究分担者 |
屋宮 清仁 久留米大学, 医学部, 助教 (00972720)
三宅 淳 久留米大学, 大学病院, 助教 (80896283)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | インフルエンザ菌 / バイオフィルム / quorum-sensing / 無胸膜型インフルエンザ菌 / 侵襲性感染症 |
研究開始時の研究の概要 |
無莢膜型インフルエンザ菌(NTHi)は呼吸器感染症の原因微生物であり、髄膜炎や菌血症等の侵襲性感染症を起こさないが、近年NTHiによる侵襲性感染症増加、新生児の髄膜炎が複数報告されている。一方biofilmは菌体やシアル酸を含みquorum-sensing機構で管理維持される集合体と定義され、生体内で宿主の免疫や抗菌薬から逃れ反復性、難治性感染症を引き起こす。NTHiはbiofilmを産生するが、侵襲性感染症に、biofilmがどう関与しているかは不明である。我々は侵襲性感染症由来NTHi産生biofilmに着目し、侵襲性NTHi感染症の予防、治療の糸口を見つけたい。
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研究実績の概要 |
NTHiが侵襲性感染症を引き起こす病態の解析としてバイオフィルムに注目して研究を進めている。令和5年度はAuto-inducerとしてトリプトファン合成機構に着目し、trpA,B,C,D,Eの欠損株を作成し、バイオフィルムの形態解析を行った。trpA、trpB欠損株ではbroth cultureでは菌は発育するが、drip flow assayではバイオフィルムの産生をほとんど認めず、trpC,D,E欠損株ではバイオフィルムの形成をplate assayでもdrip flow assayでも確認できた。trp C,D,E欠損株が産生するバイオフィルムの形状としては、表面が均一で約30um程度のバイオフィルムを形成していたが、内部の細菌は生菌よりも死菌が増加していた。また培地にトリプトファンを添加すると、バイオフィルム内の死菌が減少し、生菌の増加を認めていた。このことからやはりトリプトファンがNTHi産生バイオフィルムにおいてauto inducerとして働いている可能性があり、トリプトファン合成系がバイオフィルム内でどのように制御されているのかを明らかにすることが重要であると考えている。またHI1296がコードする分泌型ヌクレアーゼもバイオフィルム維持には重要であることが我々の先行研究でわかっているので、この2つの事象がどの様に関与しているのかを明らかにする必要がある。今後バイオフィルム形成の過程での発現遺伝子の解析を行うため12時間後、24時間後、48時間後、72時間後でバイオフィルム内部の細菌からmRNAを回収しquorum sensing機構の解明につなげたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
trpA-Eの欠損株を作成する際に時間を費やした。またtrpA-Eのcomplement strainの作成準備も同時に行っており、今後はこれらの菌株を用い実験を行い、データの収集ができると考えられる。RNA sequenceに関しては質の良いサンプル回収は問題く行えていることを確認しているので、データの解析を進める。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に作成した菌株を用いバイオフィルムの表現型の解析と、対象株の全塩基配列及びRNA sequence解析と2つの異なる手法での解析を進める。またバイオフィルム内での分泌型ヌクレアーゼの発現機構やauto-inducerとして働いている物質や遺伝子の同定のために成熟したバイフィルム内の菌株からRNAを回収しRNA sequenceを行う。大きく2つの方法で研究を行い、互いのデータ解析を進めることで新たな研究の方針を組み立てる事ができると考えている。
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