研究課題/領域番号 |
23K07245
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
工藤 渉 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (10928047)
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研究分担者 |
菱木 知郎 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (00375776)
金田 篤志 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (10313024)
星居 孝之 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (20464042)
岡部 篤史 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (80778118)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 肝芽腫 / エピゲノム / 転写因子 / ヒストン修飾 |
研究開始時の研究の概要 |
肝芽腫の分子機構については未解明な点が多く、ゲノム・エピゲノム異常の全容解明により新規治療薬の創出に繋がることが期待されている。そこで、肝芽腫細胞の生存・増殖に重要な転写因子を同定し、その転写因子が司るエピゲノム制御および標的遺伝子の解明を目的とする研究を行う。網羅的なエピゲノム解析により抽出した転写因子に対してCRISPR-Cas9システムを用いた遺伝子Knockoutスクリーニングを行い、細胞の生存・増殖に寄与する転写因子を同定する。さらに、その候補転写因子が司るエピゲノム制御をゲノムワイドに解明すると共に、臨床検体や肝芽腫PDXモデルを用いて生物学的意義を検証する。
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研究実績の概要 |
本研究では、肝芽腫細胞の生存・増殖に重要な転写因子を同定し、その転写因子が司るエピゲノム制御および標的遺伝子の解明および新規治療薬候補の創出へと繋げることを目的としている。肝芽腫細胞株であるHUH6、HepG2に対するヒストン修飾解析により抽出した候補転写因子を対象に、臨床検体の遺伝子発現データや細胞株の公共データ(Depmap)を解析しさらなる絞り込みを行った。結果、肝芽腫細胞の生存増殖に重要で、肝芽腫の臨床検体において発現上昇が認められた2つの転写因子を同定した。2つの転写因子に対してそれぞれ4つずつsgRNAを作成した。それぞれの転写因子をHepG2でノックアウトし、有意な細胞増殖抑制を確認した。HUH6ではCRISPR-Cas9システムがワークしなかったため、siRNAにより遺伝子ノックダウンを行い、細胞増殖抑制を確認した。より細胞増殖に重要である転写因子Xについて、遺伝子ノックアウトとコントロールサンプルでRNA-seqを行った。転写因子Xのノックアウトにより発現低下した遺伝子はCell cycleやMetabolismのパスウェイがエンリッチしていた。転写因子Xの発現制御を調べるため、CTNNB1遺伝子のノックアウトをHepG2、ノックダウンをHepG2、HUH6で行ったが、転写因子Xの発現は低下しなかった。肝芽腫の臨床検体における網羅的DNAメチル化解析と遺伝子発現の公共データを再解析した所、転写因子Xの発現はプロモーター領域のDNAメチル化に制御されている可能性が示唆された。HepG2、HUH6において網羅的DNAメチル化解析(Infinium Methylation EPIC)を行った所、転写因子Xのプロモーター領域は脱メチル化されていることが確認された。転写因子Xはβ-Cateninの発現とは独立した因子であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は予定通り候補転写因子から真の候補となる転写因子を同定できた。また、遺伝子発現解析データ、ヒストン修飾解析データ、DNAメチル化解析データなど、解析の基礎となる網羅的解析のデータが問題無く取得できた。候補転写因子Xに対して、CRISPR-Cas9システムによる遺伝子ノックアウトおよびsiRNAによる遺伝子ノックダウンなどによる発現制御に関しても肝芽腫細胞株で確立できた。
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今後の研究の推進方策 |
転写因子Xについてクロマチン免疫沈降法を用いてDNA結合領域のゲノムワイドな解析を行い、真の制御遺伝子について解析を行う。また、転写因子Xの下流遺伝子について、治療候補となる遺伝子の探索を行う。
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