研究課題/領域番号 |
23K07258
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
森岡 一朗 日本大学, 医学部, 教授 (80437467)
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研究分担者 |
岡橋 彩 日本大学, 医学部, 助教 (70866813)
長野 伸彦 日本大学, 医学部, 准教授 (90794701)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 乳清たんぱく質 / 成長ホルモン / 高脂肪食肥満マウス / 低出生体重-非肥満型高血糖発症モデルマウス / 低出生体重SGA / 非肥満型2型糖尿病 / 予防 / 治療 |
研究開始時の研究の概要 |
代表者らは、子宮内虚血操作により低出生体重SGA-非肥満型2型糖尿病発症モデルマウスの作成に世界で初めて成功した。その発症機序はミトコンドリア機能異常に伴う筋肉量の減少による筋原性の2型糖尿病であることを初めて明らかにした。しかし、その予防や治療法は開発されていない。本研究の目的は、低出生体重SGA児に将来発症する非肥満型2型糖尿病の予防や治療の候補薬剤の有効性を我々の開発したモデルマウスを用いて明らかにすることである。その発症機序から、候補予防薬として乳清たんぱく質と成長ホルモン、候補治療薬としてイメグリミン塩酸塩と漢方(補中益気湯・牛車腎気丸)の効果を検証する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、低出生体重SGA児に将来発症する非肥満型2型糖尿病の予防や治療の候補薬剤の有効性を我々の開発したモデルマウスを用いて明らかにすることである。その発症機序から、候補予防薬として乳清たんぱく質と成長ホルモン、候補治療薬としてイメグリミン塩酸塩と漢方(補中益気湯・牛車腎気丸)の効果を検証することである。 本年度はまず、高脂肪食肥満マウスで、乳清たんぱく質の脂質代謝への影響と体脂肪減少効果を調べた。その結果、脂質代謝への影響については、乳清たんぱく質は、脂質代謝酵素の発現を増加することにより、脂肪細胞の脂肪分解を促進し、高脂肪食による肥満とインスリン抵抗性を改善することを明らかにした。体脂肪減少効果について、乳清たんぱく質は、抗酸化作用と抗炎症作用を有し、肝臓のPPARαの発現を増加させ、中性脂肪分解を促進する。そして、脂肪重量低下の結果、HOMA-Rの低下を示すことを明らかにした。 続いて、低出生体重-非肥満型高血糖発症モデルマウスに体組成改善効果を持つ成長ホルモンを幼仔期から投与することで高血糖の発症を予防できるかを明らかにする実験系を確立した。妊娠マウスを妊娠16.5日に両側子宮動脈の血流を15分間遮断した虚血群(I)とコントロール群(C)に分類した。出生後にI群とC群の雌の新生仔マウスを、4週齢で離乳し、標準食(オリエンタル酵母MF)で飼育しながら、8週齢までヒト成長ホルモン(週6回、0.5mg/kg/week)を頸背部皮下に4週間投与した。8週齢に空腹時血糖値、血清インスリン濃度(IRI)、HOMA-R、体組成を測定し、成長ホルモン非投与のI群とC群と比較した(各群:n=6)。また、8週齢で摘出した肝臓を用いて、メタボローム解析を実施した(各群:n=3)。現在、データを解析し、まとめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
概要に記載のとおり、乳清たんぱく質の分子生物学的効果の検証が終わり、さらに、低出生体重-非肥満型高血糖発症モデルマウスを用いた成長ホルモンによる治療効果の実験が完了し、分子生物学的解析も完了した。「Body Fat-Reducing Effects of Whey Protein Diet in Male Mice」を英文論文として出版し、「Mechanism of body fat reduction effect of whey protein: comparison with casein protein」を国際学会で、「低出生体重非肥満型高血糖発症モデルマウスに対する成長ホルモン治療の発症予防効果」を国内の全国学会で発表した。また、低出生体重-非肥満型高血糖発症モデルマウスを用いた成長ホルモンによる治療効果の成果も論文発表の準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画の1)予防効果の検討は、乳清たんぱく質の効果に関する分子生物学的解明が完了したので、低出生体重-非肥満型高血糖発症モデルマウスを用いた効果の検証に進む。成長ホルモンについては、順調に実験が完了し、まとめと論文発表に進む。 続いて、当初の計画の2)治療効果の検討であるイメグリミン塩酸塩と漢方の研究に進んでいく。具体的には、次のように行う。新生仔マウスを虚血群、コントロール群の2群に分類し成獣まで普通食で飼育する。生後8週で体重と血糖測定を行い、虚血群で非肥満型の高血糖を発症していることを確認する。その後、投与を行い糖尿病に対する治療効果を検証する。 イメグリミン塩酸塩:生後8週から12週まで1日2回イメグリミン塩酸塩を乳鉢ですり潰し、飲用水に溶解してマウスに胃ゾンデを使用し150mg/kg/dayを4週間経口投与する群と胃ゾンデで同量の飲用水を投与する群に分けて飼育する。 漢方:生後8週から12週まで1日2回漢方(補中益気湯、牛車腎気丸)を飲用水に溶解してマウスに胃ゾンデを使用し50mg/kg/dayを4週間経口投与する群と胃ゾンデで同量の飲用水を投与する群に分けて飼育する。
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