研究課題/領域番号 |
23K07259
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
荻原 郁夫 日本医科大学, 医学部, 准教授 (30373286)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | てんかん性脳症 / 疾患プロテオーム / 電位依存性ナトリウムチャネル |
研究開始時の研究の概要 |
乳幼児期の度重なるてんかん発作は精神運動発達に悪影響を及ぼすことがあります。本研究は抗てんかん薬によって発作のコントロールが不良で難治なてんかん性脳症について治療開発を目指しています。てんかん性脳症には遺伝子の突然変異に起因するものがあり、多数の原因遺伝子が見つかっている中、本研究は遺伝子が異なっていても発症基盤は共通であると仮定し、それら遺伝子がコードするタンパク質の機能的相互作用を分子細胞生物学、生化学、生理学的手法を用いて明らかにして新規治療開発に発展させていきます。
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研究実績の概要 |
てんかん性脳症は頻回のけいれん発作に知的・行動・運動の発達遅滞を伴う疾患群であり、コントロール不良で難治なことが多い。遺伝子の突然変異に起因するものもあり、電位依存性ナトリウムチャネルα1(Nav1.1)や線維芽細胞成長因子12(FGF12)、Goタンパク質αサブユニット(Gαo)をコードする遺伝子が原因遺伝子として報告されている。本研究は原因遺伝子間に共通の発症基盤を仮定してNav1.1とFGF12、Gαoの相互作用を解析している。 Nav1.1のN末側、ループI,II,III、C末側にある細胞内ドメインについて、検出を容易にするタグ標識を付加した発現ベクターを領域別に構築した。FGF12とGαoについてもタグ標識を付加したコンストラクト、そして赤色蛍光タンパク質を同時に発現するコンストラクトを作製した。そして、Nav1.1部分領域のうちで十分な発現量が得られたC末端領域について、弱いながらFGF12との結合を認め、構造解析から予測された結合部位へのアミノ酸置換がそのタンパク質間結合の強度を上昇させた。発現量が非常に低いもののN末側領域についてもFGF12との結合を示す可能性が示されている。さらに、Nav1.1部分タンパク質と疾患関連FGF12変異体の結合が示唆されている。 ナトリウムチャネルβ1,2サブユニットと緑色蛍光タンパク質を同時に発現するベクターを作製し、Nav1.1とFGF12と共に培養細胞に強制発現させた。そして、緑色ならびに赤色蛍光を同時に発する細胞にホールセルパッチクランプ法を適用した。FGF12の疾患関連変異体も実験に加え、変異によるNav1.1の電気生理学的性質の変化を解析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Nav1.1部分領域発現ベクターについて、C末端領域のみの解析で十分な可能性はあるが、N末側、ループI,II,IIIで十分な発現量が得られておらず、改善を試みている。
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今後の研究の推進方策 |
Nav1.1とFGF12の共発現について、Nav1.1とFGF12に関連するてんかん性脳症に共通の発症基盤が存在するかについてさらなる電気生理学的、免疫組織学的解析を進める。また、Nav1.1とGαoの結合の詳細を生化学的に明らかにし、Gαoとこのタンパク質と共役するグルタミン酸受容体タイプ6(mGluR6)がNav1.1の電気生理学的性質と細胞内局在に及ぼす影響を解析する。
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