研究課題/領域番号 |
23K07268
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
津村 弥来 広島大学, 医系科学研究科(医), 研究員 (80646274)
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研究分担者 |
岡田 賢 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (80457241)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | RELA / 免疫異常 / 優性阻害 / 半量不全 |
研究開始時の研究の概要 |
RELA遺伝子のHI変異は、AD形式に慢性粘膜皮膚潰瘍、自己免疫性血液疾患を引き起こす。申請者らは、これらの症状に加え、周期性発熱、炎症性腸疾患、若年性特発性関節炎、皮膚病変などの重篤な症状を呈するRelA異常症を同定した。さらにこのRELA変異がDN効果を示すことを発見し、DN変異によるAD RELA異常症という新規疾患概念を提唱している。本研究では、RELA変異のin vitro評価系を用いた変異の網羅的機能解析を行い、病的意義を予測する変異参照データベースを構築する。並行して、国内外の臨床情報の収集と、患者細胞を用いた免疫学的検討を行い、AD RelA異常症の『疾患概念の確立』を行う。
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研究実績の概要 |
NF-κBは、免疫応答、細胞増殖、アポトーシスなど様々な生命現象に関与する転写因子である。NF-κBは、免疫応答、細胞増殖などに関与する転写因子である。2017年に、慢性皮膚粘膜潰瘍・自己免疫疾患を引き起こす常染色体顕性遺伝(AD)疾患の病因として、NF-κB構成タンパクの一つであるRelAのハプロ不全症(HI)が報告された。本年度、我々は、これらの症状に加え、重篤な自己炎症や自己免疫を呈する患者(5家系6患者)、優性阻害(DN)効果を示すRELAヘテロ変異を同定し、AD RelA異常症の新規疾患概念として論文報告を行なった。 これまでに報告されているAD RELA変異はナンセンス変異である。本年度はさらにミスセンス変異を含む新規4バリアントの同定に成功し、タンパク発現、二量体形成、NF-κB転写活性の検討を行うことでバリアントの病的意義を評価した。加えて、HI変異は5’側に存在する二量体形成・DNA結合を担うRHドメイン近傍に、DN変異は、3’側に存在する転写活性化ドメインあるいはその近傍に集積する。最も3’側に位置するHI変異と、最も5’末端に位置するDN変異に挟まれた領域に、HI変異とDN変異とを分ける境界点が存在すると考え、この領域にstop codonを導入した変異体を網羅的に作製し、ルシフェラーゼアッセイによるNF-κB転写活性化能を検討することで境界となるアミノ酸の探索を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
DN効果を示すナンセンス変異を同定し、DN変異によるAD RELA異常症という新規疾患概念を論文化した。本年度はさらにミスセンス変異を含む新規4バリアントを同定し、一過性強制発現系を用いた解析によりその病的意義の評価が終了した。 加えて、病的意義を予測する変異参照データベースを構築するために、250番から325番目のアミノ酸のナンセンス変異プラスミドを網羅的に作製し、その機能解析からHI変異とDN変異とを分ける境界点を同定することができた。DN変異を有する患者では重篤な症状を示すことが多く、造血幹細胞移植が必要となる症例も存在する。病的意義を予測する変異参照データベースを参照にRELAナンセンス変異の病的意義の判断が容易となり、AD RelA異常症の早期診断と治療介入に貢献できると考える。
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今後の研究の推進方策 |
新規4バリアントの臨床情報の収集とそのまとめを行う。さらに患者検体を用いてRNA, タンパク発現の確認を行う。DN変異を有する患者で認めるI型IFN過剰の状態を示す『type I IFN signature』と呼ばれる複数のIFN誘導性遺伝子(ISG)の発現上昇を認める。そのためHI変異を有する患者においても同様の所見を示すか検討したいと考えている。
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