研究課題/領域番号 |
23K07274
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
大久保 直 北里大学, 医学部, 准教授 (10450719)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2026年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | Ripply3 / Glyr1 / ゲノム編集マウス / 咽頭弓形成 / 心臓形成 / 転写調節 |
研究開始時の研究の概要 |
Ripply3は、マウスの発生過程で咽頭弓に特異的に発現する遺伝子で、咽頭弓形成およびその後の心臓や胸腺の形成に必須である。Ripply3はTbx1の転写活性を抑制する重要なアダプター分子と想定されるが、Ripply3が介在する転写調節に関わるタンパク質複合体の実体は分かっていない。本研究では、Ripply3と相互作用する因子として新たに見つかったGlyr1について、2種類のゲノム編集マウスを作成し、心臓および流出路、胸腺の表現型を解析する。また胚の網羅的な遺伝子発現解析等から、咽頭弓におけるRipply3を介した転写調節複合体の役割を解明し、ヒト先天性心疾患の病態の理解に貢献する。
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研究実績の概要 |
Ripply3は咽頭弓で特異的に発現する遺伝子で、咽頭弓分節化とその後の心臓や胸腺の形成に必須である。培養細胞を用いた解析から、Ripply3は進化的に保存されたアミノ酸配列WRPWやFPVQを介してタンパク質複合体を形成し、転写因子Tbx1の転写活性を調節するアダプター分子だと示唆されるが、その実体はまだ分かっていない。Ripply3と相互作用する遺伝子を新たに探索したところヒストン脱メチル化への関与が示唆されるGlyr1を同定した。本研究は、Glyr1の遺伝子改変マウスを作成し、その表現型を解析するとともに、Ripply3とGlyr1の複合変異マウスの解析から咽頭弓および心臓形成におけるRipply3の作用機序を解明することを目的とする。 2023年度は、ゲノム編集によりGlyr1遺伝子のexon3に終止コドンをノックインしたGlyr1 KOマウスの系統化に成功し、ホモマウスの表現型解析を進めた。またGlyr1遺伝子の配列から予測されたN末端側のPWWPドメインを残し、それよりC末側に存在するAT-hookと dehydrogenase様ドメインの配列をコードするexon5~15を欠失させたGyr1 Δ515マウスの系統化にも成功し、その表現型を解析した。その結果、KOマウスでは、新生仔期において野生型、ヘテロ、ホモの個体数はメンデル比で存在したが、3週齢頃になるとホモの体重は有意に軽く成長不良が生じ、生存率が有意に低下した。一方、Δ515マウスにおいても新生仔期の野生型、ヘテロ、ホモの個体数はメンデル比で存在したが、3週齢頃になるとホモでは成長不良が生じ生存率が顕著に低下した。以上、Glyr1 KO、Δ515の各ホモマウスの解析から、Glyr1は生後発達期の生存や成長に関与していることが判明し、特にC末端側の配列に重要な機能があることを示唆する知見が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Glyr1遺伝子について2種類のゲノム編集マウスの系統化に成功し、表現型解析を進めることができた。Glyr1 KO およびGlyr1 Δ515の各系統のホモマウスの解析から、Glyr1は生後発達期の生存や成長に重要な遺伝子であることを見出した。以上から、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
Glyr1 の各変異マウスでみられた成長不良や生存率低下の原因を探索するため、心臓などの組織学的な解析を進める。またRipply3とGlyr1の生体内での機能的な相互作用について検証するため、Ripply3 KOマウスとGlyr1 KOマウスの複合変異マウスを作成し、その表現型を解析していく予定である。さらにGlyr1の抗体を作成し、免疫染色等により発現部位や発現量を組織学的に検証する。
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