研究課題/領域番号 |
23K07283
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所) |
研究代表者 |
黒澤 健司 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 臨床研究所長 (20277031)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ゲノム / 先天異常 / マイクロアレイ染色体解析 / copy number variant / FISH / CNV / トランスクリプトーム / 臨床的意義不明 / 質量分析 |
研究開始時の研究の概要 |
全ゲノム解析研究の発展によりバリアントと疾患発症の意義付けは明らかにされつつあるが、ゲノム再構成(コピー数変異(CNV)や逆位・挿入など)とヒトの複雑な形質(臨床症状)との関連性は十分解明されていない。本研究では、多臓器にわたる症状をもつ未解決症例を抽出し、対象例で検出された臨床的意義不明なゲノム再構成と複雑な病態との関連性を明らかにする。本研究は、ゲノム解析、トランスクリプトーム解析、タンパク質量分析などの解析技術に加え、長期間の観察から得られる症状の変化も念頭に置く、包括的な研究である。症状をもたらす遺伝子発現の変化の全貌を捉え、病態解析を進める。
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研究実績の概要 |
全ゲノム解析研究の発展によりバリアントと疾患発症の意義付けは明らかにされつつあるが、ゲノム再構成(コピー数変異(CNV)や逆位・挿入など)とヒトの複雑な形質(臨床症状)との関連性は十分解明されていない。本研究では、多臓器にわたる症状をもつヒト先天異常症例を手掛かりに、ゲノム再構成と複雑な病態との関連性を明らかにすることを目的としている。初年度では、マイクロアレイ染色体解析スクリーニング約1000例で未解決となった症例について分子細胞遺伝学的手法を用いて再評価を行った。軽度の発達遅滞を呈し6p22.3領域0.9Mb重複を新生突然変異として認めた症例について新たに検討を加えた。BAC cloneを用いたFISH解析および定量PCR解析により、重複は二重複ではなく三重複(triplication)であることを確認した。重複領域には6つのタンパクコード遺伝子が存在し、DECIPHERデータベースによるとtriplicationによりほぼ同様の症状を呈する症例が登録されていることが確認できた。ただし、この領域の重複はgold standard variantとして登録され、アレル頻度は0.03%ないしは0.11%とされている。この6つの遺伝子のうちp.LIが1.0を有す遺伝子はいずれもp.Triploは0.55-0.6と低い。しかし、浸透率の低いCNVあるいはtriplicationとしての影響を考慮して病的意義を再検討する必要がある。今回の解析により詳細解析とデータベース症例との比較により新しい疾患遺伝子の検出の可能性を示唆する所見を得ることができた。今後、同様症例の検出を視野に入れ報告準備を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに報告のない疾患関連CNVを検出することができ、その発症メカニズムについて検討することができた。
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今後の研究の推進方策 |
染色体ゲノムの微細構造がもたらす先天異常発症の機構を明らかにするために、さらに詳細スクリーニングを進めてゆく。同様症例の検索、および同様症例との症状比較、当該領域の遺伝子発現の状況と臨床症状との相関を検討する。
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