研究課題/領域番号 |
23K07287
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
大嶋 勇成 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 教授 (40303391)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 食物アレルギー / 免疫療法 / アジュバント / 制御性T細胞 / IgD |
研究開始時の研究の概要 |
食物アレルギーの積極的治療法として、口腔粘膜の特性を利用して、抗原ペプチドとアジュバントを封入したナノ粒子を口腔粘膜局所の抗原提示細胞に取り込ませる免疫療法の開発を目的とし、以下の点を明らかにする。①ナノ粒子の作成と投与法、②アジュバント成分の確立、③作用機序の解明(制御性T細胞、制御性B細胞、骨髄由来抑制細胞の関与)、④治療効果の予測バイオマーカーの開発(抗原特異的IgDの有用性の検証)、⑤経口免疫療法中の食物アレルギー患者の耐性獲得評価法の確立。本研究により有効な免疫療法と、効果予測法が確立できれば、気管支喘息やアレルギー性鼻炎に対する免疫療法や他の経口粘膜ワクチンにも応用が期待される。
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研究実績の概要 |
食物アレルギーの積極的治療法として、免疫療法の開発を目的として、抗原投与法とアジュバントの物質の検討を中心に行った。免疫療法の抗原を投与する経路として口腔粘膜への投与を検討したが、嚥下による粘膜での抗原接触時間が安定化しない問題があった。また、嚥下を抑制するため麻酔下で行うと、抗原暴露によるアレルギー症状誘発リスクの評価が困難であった。そのため、口腔粘膜以外で、安定して抗原投与が可能となる皮膚を選択した。 アジュバント候補としては、以前、報告した経皮感作による食物アレルギーモデルにおいて、感作局所での好塩基球活性化の関与が示唆される結果を得ていたことから、好塩基球活性化によるサイトカイン産生に関わる経路に関わる分子を標的とした阻害剤をアジュバント候補として検討することとした。 MC903を用いてアトピー性皮膚炎様病変を作成し、その部位に抗原としてオボアルブミンを塗布することで経皮感作を行い、その後、オボアルブミンを経口投与することで低体温、下痢症状を呈するモデルを用いた。MC903とオボアルブミン塗布後に、デキサメタゾン、あるいは、フォスフォジエステラーゼ4阻害剤を塗布し、オボアルブミン経口チャレンジによる症状を観察した。その結果、デキサメタゾンでは、誘発症状はやや軽減するものの体重減少が観察された。一方、フォスフォジエステラーゼ4阻害剤では、検討した投与法では、体重減少を含め、明らかな副作用は認めなかったが、誘発症状の有意な軽減は認めなかったことより、投与量、投与方法を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画で予定していた、マウスの口腔粘膜への投与は、無麻酔下で投与した場合、マウスが直ぐに嚥下してしまうため、口腔粘膜局所での抗原の曝露時間を安定化させることが困難であった。そのため、麻酔下での口腔粘膜への投与を検討したが、麻酔により、体温低下、気管への垂れ込みによる気道への曝露という問題があり、抗原暴露によるアレルギー症状誘発リスクの評価が困難であった。そのため、口腔粘膜への投与経路では再現性が高いデータを得ることが困難であると判断し、投与経路の変更を余儀なくされ、代替えとなる投与経路を検討するのに時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
経皮感作による食物アレルギーモデルでは、皮膚局所の好塩基球の活性化とIL-3, IL-4などの産生が重要な役割をもつことを我々は以前、報告している。近年、MC903塗布によるアトピー性皮膚炎様皮膚症状を呈する動物モデルでは、皮膚局所に好塩基球が増加すること、好塩基球はフォスフォジエステラーゼ4を大量に発現しており、その発現を選択的に欠損させた場合、皮膚炎が起きなくなり、IL-4産生が抑制されることが報告されている。そこで、これらの結果を踏まえ、フォスフォジエステラーゼ4阻害剤をアジュバントとして用いることで、経皮感作を抑制し、その結果、食物アレルギー症状の発症を抑制するか否かを検討する。さらに、経皮感作が成立した食物アレルギーモデルマウスに対し、フォスフォジエステラーゼ4阻害剤をもちいて皮膚炎の治療を行った場合、経口曝露による食物アレルギー誘発症状が軽減されるかを検討する。
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