研究課題/領域番号 |
23K07294
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
中村 公俊 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (30336234)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 新生児スクリーニング / SMN蛋白 / qPCR / ポンペ病 |
研究開始時の研究の概要 |
濾紙血を用いて、SMN1遺伝子の欠失をqPCRで確認した後、同じ濾紙血を用いてSMN蛋白を測定し(特許出願中)、さらにデジタルPCR(ddPCR)法を用いたSMN1とSMN2のコピー数を測定することで、新生児スクリーニングの初回検査の結果報告と同時にSMAの病型予測を可能とする。また、PDの新生児スクリーニングにおいては、GAA酵素活性の低値を確認した後、ELISA法によりCKを測定し、カットオフ値以上であることが確認された場合には、再採血を行わず直ちに精密検査を行うことで、直ちに治療が必要なIOPDを区別できることを見出した。直ちに精密検査受診、治療へと進むシステムを確立する。
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研究実績の概要 |
脊髄性筋萎縮症では、qPCR法を用いた新生児スクリーニング法が開発されているが、遺伝子診断を用いたスクリーニングであるため、倫理的な課題は多く、産科施設で説明をおこなってスクリーニングをおこなうには解決すべき点が多い。われわれは、新生児スクリーニング用の濾紙血を用いて、SMN蛋白を測定する方法を開発した。本研究では、従来のqPCR法によって生じる遺伝子解析による偶発的所見や病型診断といった倫理的な課題を解決することを試みた。そして濾紙血検体を用いたSMN蛋白測定による新生児期のSMAのスクリーニングを実施した。この検査によって、実際に新生児スクリーニングにおいてSMA患者を発見し、早期治療として遺伝子治療を行うことができた。本研究によって本症の早期診断と新生児期のスクリーニングを可能にし、適切な治療時期の検討を行うことで、SMAの早期診断と治療の意義を明らかにすることができた。 さらに、ポンペ病の新生児スクリーニングにおいて、酸性α-グルコシダーゼ遺伝子解析で検出されるPseudodeficiencyの除外のためのqPCR検査法を確立した。この方法を用いることで、活性低値の新生児スクリーニング陽性者の中で、Pseudodeficiencyのアレルを持つ検体を検出することが可能になった。活性低値の陽性者において、Pseudodeficiencyのアレルを持たない検体を確認し、乳児型ポンペ病であることを早期に診断することができた。早期治療が必要な乳児型ポンペ病の早期診断の一助となることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SMN蛋白を測定する方法を開発し、臨床検体への応用が可能になっている。また、Pseudodeficiencyの除外のためのqPCR検査法を確立し、乳児型ポンペ病の早期診断に応用することができた。これらの成果は予定通りまたは予定を上回る進捗と考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
脊髄性筋萎縮症とポンペ病において早期診断に役立つツールを設定し、臨床応用へと進めたい。SMN蛋白の効率的な測定と、ポンペ病の酸性α-グルコシダーゼ遺伝子解析で検出されるPseudodeficiencyの効率的な検出をさらに進めるとともに、CK値を用いた2nd tier検査が可能な仕組みを確立したい。
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