研究課題/領域番号 |
23K07296
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
河原 康一 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (00400482)
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研究分担者 |
岡本 康裕 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (30398002)
中川 俊輔 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (60789973)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | p53経路 / がん分子標的治療薬 / 標的タンパク質 / 標識プローブ化合物 |
研究開始時の研究の概要 |
がん抑制因子p53を活性化する核小体ストレス応答機構は、腫瘍細胞の増殖や個体の腫瘍進展を抑制し、腫瘍患者の予後良好さに関連する。我々は、大規模な薬剤スクリーニングにより、核小体ストレス応答により、p53依存性に小児白血病細胞を殺傷する化合物を見出した。この化合物は、競合薬や実薬に比べ、in vitroの血液毒性が低い。本研究では、同定済み化合物を用いて、薬効薬理効果の検証、感受性を予測する診断技術の確立を行う。本研究を進めることで、新規作用機序でp53を作動させる小児腫瘍のがん分子標的治療薬及び感受性を予測する診断薬の開発が叶い、新たな小児腫瘍の治療戦略の開拓が期待できる。
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研究実績の概要 |
近年、リボソームタンパク質L11(RPL11)によりがん抑制因子p53を制御する新たな抗腫瘍機構として核小体ストレス応答が明らかになってきた。我々はこれまでに、核小体ストレス応答は生体機能の異常が少なく、P53の増加により、様々なP53野生型の腫瘍の進展を抑制することを明らかにしてきた。このように核小体ストレス応答機構は副作用を抑えたがん治療標的と考えられたことから、独自の薬剤探索プラットフォームを活用して、核小体ストレス応答を誘導し、DNA損傷なしに、P53の増加により、小児白血病細胞を殺傷するシード化合物を選択し、構造展開により動物に経口投与可能な合成化合物を見出した。 これまでの研究成果を受け、本年度は、同定済み化合物の標的たんぱく質の同定を試みた。同定済み化合物の構造をもとに、ジアジド化標識プローブ化合物を合成した。光クロスリンク/クリック反応後、ビオチンビーズによる沈降を行い、質量分析器によって沈降物に含まれるたんぱく質を特定した。結果として、陽性標識化合物と陰性標識化合物との差異が2倍以上のものが11種、陽性標識化合物と非標識化合物での結合競合阻害による差異が1.4倍以上のもの16種類、両方の条件を満たすもの11種を見出し、結合たんぱく質候補を同定した。これらの候補たんぱく質のうち、核小体ストレス応答との関連性が示唆されているたんぱく質A、B、及びCに着目し、A、B、CのsiRNAを導入し、同定済み化合物の感受性や、P53経路の増加量を測定した。その結果、A及びBでは、ノックダウンにより想定される変化がみられなかったが、CのノックダウンではP53増加量の低下、感受性の回復を部分的に認めた。 以上から、今回プローブ化合物に特異的に結合するたんぱく質を探索し、標的分子となる可能性が高いたんぱく質Cを同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
同定済み化合物の標識化合物及び、陰性コントロール標識化合物の設計、合成を完了した。この標識化合物を用いて、結合たんぱく質候補を同定し、機能アッセイによりバリデーションにより、結合たんぱく質として可能性が高い分子を特定できた。このようなことから、本研究は概ね順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
結合たんぱく質候補分子から、化合物に直接結合するたんぱく質を決定する。さらに、in vivo薬効薬理効果を評価するシステムを構築させ、同定済み薬剤の抗腫瘍効果を検証する。加えて、同定済み化合物への感受性を予測する評価系の構築も進める。
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