研究課題/領域番号 |
23K07301
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
山形 崇倫 自治医科大学, 医学部, 客員教授 (00239857)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | AADC欠損症 / アデノ随伴ウィルスベクター / 遺伝子治療 / 脳機能解析 / AAVベクター / ドパミン / 被殻 |
研究開始時の研究の概要 |
AADC欠損症は、ドパミン、カテコールアミン、セロトニン産生低下から、随意運動障害、ジストニア等を来す疾患で、治療法がなかった。我々は、AAV2型ベクターにAADC遺伝子を挿入したベクターを両側被殻に注入する遺伝子治療臨床研究を8例に実施し、全例で運動機能の改善、ジストニア消失等の成果を得た。これらの患者の経過をフォローし、遺伝子治療の効果と長期予後を解析する。治療効果は低年齢、活性残存が想定される変異の患者で高かった。被殻と皮質等との連携改善との相関も考えられた。さらに脳機能解析を継続、拡大し、ドパミン神経系の病態と改善のメカニズムを解析する。また、より効果の高い治療法の開発も検討する。
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研究実績の概要 |
芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)欠損症に対し、アデノ随伴ウィルス(AAV)2型ベクターにAADC遺伝子を挿入し、両側被核に計2x1011 vg定位脳手術で注入する遺伝子治療を2015年から実施している。これまで、臨床研究として、重症型7人と中間型1人に、2022年には重症型1人と中間型1人に医師主導治験を実施した。本研究は、これらの患者の長期フォローとして、効果の持続やベクターの発現、脳機能解析等を継続して実施することを目的とする。臨床研究で治療した8名中、2名はオーストラリアとロシアからの患者で、追跡できなくなっているため、残りの6名と、現在治験期間内である2名のフォローを継続する。 臨床研究で治療した重症型5名では、治療後5から8年になるが、運動機能の改善は続いている。全例単独、あるいは支えての座位が可能になっていたが、3名では支えての歩行が可能になっている。側弯は進行しており、課題である。高年齢で治療した例の中には、側弯の進行もあり、姿勢保持が難しくなっている例もある。4例は経口摂取困難だったが、2例は経口摂取が改善していた。さらに1例が治療8年後に経口摂取可能になった。眼球変位発作は改善したが、疲れた時などに出ている例がある。中間型1例は、自立した日常生活および学校生活を送っており、知能検査でもバラツキは少しあるが、正常範囲である。全例、有害事象として治療後半年以内のジスキネジアがあり、ほぼ消失しているが、1例のみ持続的に出現している。 治療後1年の治験例2例も含め、フォロー可能な全例、fMRIによる脳機能の評価を定期的に実施しており、今後、特定の年齢でまとめて解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外からの2例の解析ができていないが、他の例は、定期的に評価しており、検査も実施している。
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今後の研究の推進方策 |
臨床評価、fMRIやPET等による評価を、該当時期に実施してデータを蓄積し、一定の時期に揃えて解析する。 他の疾患に対する遺伝子治療の評価にも応用していく。
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