研究課題/領域番号 |
23K07306
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
西村 雄宏 千葉大学, 医学部附属病院, 特任助教 (40895984)
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研究分担者 |
菱木 知郎 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (00375776)
本橋 新一郎 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (60345022)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | iPS-NKT細胞 / NKT細胞 / 神経芽腫 / 抗GD2抗体 / ADCC / がん免疫治療 / Neuroblastoma / NKT cell / iPS-NKT cell / dinutuximab / immunotherapy |
研究開始時の研究の概要 |
集学的治療を行っても予後不良である高リスク神経芽腫の治療成績は抗GD2抗体療法の登場により向上したが、5年生存率は50%程度に留まっており、新規治療開発が求められている。これまでに我々は、抗腫瘍免疫応答において重要な役割を担うNKT細胞が、抗GD2抗体療法におけるNK細胞の抗体依存性細胞傷害活性を増強させることを見出した。本研究では、抗GD2抗体療法とNKT細胞およびiPS細胞由来NKT細胞免疫療法の併用による抗腫瘍効果を、神経芽腫マウスモデルを用いて検討する。さらに腫瘍微小環境におけるエフェクター細胞浸潤の制御因子を同定・応用することで、治療効果を最大限発揮する複合免疫療法の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
神経芽腫に対する免疫療法である抗GD2抗体療法は、抗体依存性細胞傷害活性(ADCC)により抗腫瘍効果を示す。本研究では、抗GD2抗体療法にiPS細胞由来NKT(iPS-NKT)細胞を応用する新規治療の開発を目的とする。令和5年度は、神経芽腫細胞株に対するiPS-NKT細胞のADCCの作用機序と、神経芽腫皮下腫瘍モデルマウスにおける抗腫瘍効果について検討した。 iPS-NKT細胞はGD2発現神経芽腫細胞に対して、抗GD2抗体の存在下で強力な細胞傷害活性を発揮した。自家末梢血由来のinvariant NKT(iNKT)細胞では同様の細胞傷害活性は認められなかった。iNKT細胞と異なり、iPS-NKT細胞はFcγ受容体であるCD16、CD32、CD64を発現していた。iPS-NKT細胞上の各Fcγ受容体に刺激を加えたところ、CD16刺激によってのみ脱顆粒マーカーであるCD107aの発現上昇や、Granzyme B、TNF-α、IFN-γなどのサイトカイン産生が誘導された。またCD16を阻害することで、神経芽腫細胞株に対するADCCが有意に抑制された。 神経芽腫細胞株を用いた皮下腫瘍モデルマウスを作製し、抗GD2抗体やiPS-NKT細胞を腫瘍内投与する治療実験を行った。無治療群、抗GD2抗体単独群、iPS-NKT細胞単独群、抗GD2抗体+iPS-NKT細胞併用群の4群間で比較したところ、抗GD2抗体+iPS-NKT細胞併用群で著明に腫瘍が縮小した。 今年度の研究実績から、iPS-NKT細胞が神経芽腫に対してCD16依存性に抗GD2抗体を介したADCCを発揮することを明らかにした。神経芽腫皮下腫瘍マウスモデルにおいて、iPS-NKT細胞と抗GD2抗体の併用療法が腫瘍を縮小させることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
iPS-NKT細胞が神経芽腫に対してCD16依存性に抗GD2抗体を介したADCC活性を有することを示した。神経芽腫皮下腫瘍マウスモデルを用いた治療実験では、iPS-NKT細胞と抗GD2抗体の併用による抗腫瘍効果を示した。これまでの研究実績をまとめた論文を現在投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
PS-NKT細胞がNK細胞のADCCに与える影響や、樹状細胞によるiPS-NKT細胞の活性化がADCCに与える影響についてin vitroでの検討を継続し、iPS-NKT細胞の神経芽腫に対する抗腫瘍免疫応答メカニズムの解明を進める。in vivoではPDXを用いた皮下腫瘍モデルを用いて、患者由来の腫瘍細胞に対してもiPS-NKT細胞の細胞傷害活性が発揮されるかどうかを検討する。また、実際の神経芽腫患者においては遠隔転移巣や骨髄転移巣が抗GD2抗体療法の標的病変となる。そのため、遠隔・骨髄転移モデルマウスを作製し、同モデルにおける抗GD2抗体とiPS-NKT細胞の併用療法の抗腫瘍効果を検討する。さらに神経芽腫細胞や骨髄へのホーミングケモカインを同定しiPS-NKT細胞に遺伝子導入することで抗腫瘍効果を高められるかどうかを検討し、臨床応用へ向けた知見を蓄積していく。
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