研究課題/領域番号 |
23K07320
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
光本 明日香 (貝崎明日香) 昭和大学, 薬学部, 講師 (70407443)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ADHD / POHaD / エピジェネティクス / メチルフェニデート / メタンフェタミン / 次世代 / 衝動性 / 記憶 / DOHaD / 発達障害 |
研究開始時の研究の概要 |
注意欠陥/多動性障害(ADHD)は年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力及び/又は衝動性、多動性を特徴とする発達障害の一つであり、遺伝素因、環境要因など、様々な要因が複雑に関連し発症する。近年、喫煙等の環境因子がエピジェネティク変化を生じ、次世代の発達障害発症に影響を及ぼすと報告されている。しかし、世界的にADHD患者は増加しており、薬物治療を受ける患者も増加しているにも関わらず、ADHD治療薬が次世代に及ぼす影響は明らかでない。本研究では、親のADHD治療薬服用が子の行動学的変化やエピジェネティクスに及ぼす影響を明らかにし、ADHDの治療方針、新規治療戦略の構築に寄与することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究は、親世代のADHD治療薬服用が子世代の神経・行動学的変化やエピジェネティクスに及ぼす影響を明らかにし、ADHD患者の治療方針、新規治療戦略の構築に寄与することを目的としている。2023年度は親世代へのメチルフェニデート(MPH)投与が、子世代(F1)および孫世代(F2)にADHD様症状を誘発するかを確認した。また、MPHによる次世代ADHD誘発メカニズムについて検討した。離乳期までの発育や発達試験において、F1, F2ともに若干の成長遅延が認められたものの、離乳時には対照群と同等であった。行動試験においては、F1, F2ともに衝動性の増加が認められた。また、F1では長期記憶力の低下が認められた。F1線条体のRNA-seqを行い、922個の発現変動遺伝子(DEGs)を同定した。Metascapeを用いてDEGsリストの濃縮解析を行った結果、Neuronal systemという用語が最も有意に濃縮されていた。また、RT-qPCRの結果、ADHDとの関連が示されているSnap25やSyt1、ADHDの病態に関与するとされるDrd2やComtの発現レベルが変化していることを明らかにした。また、2019年に販売開始されたリスデキサンフェタミン(アンフェタミンのプロドラッグ)の影響を推察するためアンフェタミンの代替薬としてメタンフェタミンを用い、同様の検討を行った。F1、F2ともに離乳期までの発育や発達に重大な影響は認められなかったが、F1では学習・記憶力の低下が認められ、F2雌では衝動性が認められた。現時点では詳細なメカニズムは明らかでないが、当該年度の結果から、再生産期間の男性の継続的なADHD治療薬の使用は、子世代や孫世代の行動や記憶力に悪影響を与える可能性があることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書において2023年度に実施する予定であったものは概ね実施したため。
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今後の研究の推進方策 |
今後も研究計画書に従い研究を進めて行く予定である。ただし、精子のエピゲノム解析においては、DNAではなくsmall RNAについても検討することを考えている。
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