研究課題/領域番号 |
23K07336
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
清水 誠之 大分大学, 医学部, 助教 (30817143)
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研究分担者 |
井上 真紀 大分大学, 医学部, 講師 (20726913)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | X連鎖性ミオチュブラーミオパチー / MTM1遺伝子 / 肝障害 / イメージング解析 / 疾患モデル動物 / MTM1遺伝子 / 重度肝障害 / 生体ライブイメージング / ライトシート型超解像顕微鏡 / ゼブラフィッシュXLMTMモデル |
研究開始時の研究の概要 |
X連鎖性ミオチュブラーミオパチー(XLMTM)は、MTM1遺伝子の変異により、生直後から全身の筋力低下を示す希少な疾患である。本疾患は、致死的な肝障害リスクを潜在的に抱え、これが“筋機能の回復”に向けた画期的遺伝子治療薬の妨げにもなっている。しかし、XLMTMに合併する肝障害の病態機序は不明である。そこで、患者と同じMTM1遺伝子変異をもつ動物モデルを作製し、生体イメージング解析と網羅的な遺伝子発現解析により、XLMTMに合併する肝障害の病態機序を解明する。本研究の発展により、XLMTM肝障害に対する効果的な治療法開発と、筋機能回復を目指した遺伝子治療の適応向上に寄与するものと期待される。
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研究実績の概要 |
先天的に重度の筋力低下が生じるX連鎖性ミオチュブラーミオパチー(XLMTM)は、潜在的にさまざまな肝障害リスクも抱えており、肝出血を引き起こす肝紫斑病は致死的な合併症のひとつである。肝紫斑病の他に、本疾患の肝障害リスクは筋機能回復に向けた遺伝子治療薬の弊害にもなっている。本研究では、病態の進行を生体内でリアルタイムにイメージング可能なヒト疾患モデル動物ゼブラフィッシュを用いて、XLMTM患児の肝合併症の病態メカニズムを明らかにすることを目的とし、新たな治療方法の開発へと発展させるものである。本年度、XLMTMに合併する肝紫斑病を呈した患児と同じMTM1遺伝子変異(一塩基置換)をもつゼブラフィッシュの作製に取り組んだ。ゲノム編集技術CRISPR/Cas9により一塩基変異を導入した個体群に対し、HiDi-PCR法によるスクリーニングで候補となる陽性個体を得た。しかし、目的の塩基部位の近傍に非特異的な変異が生じており、現在まで正確なMTM1遺伝子変異を有するゼブラフィッシュ系統の樹立には至っていない。一方で、既に作製済みのMTM1 遺伝子欠損(MTM1-KO)とMTM1変異型mRNA注入によるゼブラフィッシュは、患児と同じく肝腫大と肝血管(肝類洞)の拡張を再現した。血管病変が肝内に集中したことから、この合併症は、血管の周辺に存在する細胞・組織の初期発生異常を起点とすることが考えられた。そこで、肝臓の約6割を占める肝細胞(肝実質)の詳細なイメージング解析を行った。MTM1-KO個体では、肝細胞で合成された胆汁酸が分泌される毛細胆管の構造が消失し、肝内で胆汁酸の蓄積(胆汁うっ滞)が認められた。電子顕微鏡解析からも、毛細胆管の構造破綻を確認した。さらに、肝組織で重度の炎症反応が誘導されていることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ゲノム編集技術CRISPR-Cas9によるMTM1一塩基変異型ゼブラフィッシュの系統の樹立には至っていないが、研究計画にある代替方法としてMTM1遺伝子欠損モデルとMTM1変異mRNA注入モデルによる解析により、XLMTM患児における肝臓の肥大・血管の拡張を再現した。さらに、肝細胞にある毛細胆管の消失により胆汁酸の排泄障害を見出し、XLMTM肝障害の病態の一端を明らかにできたため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
ゲノム編集技術によるMTM1遺伝子一塩基置換モデル動物の作製は継続して行う。また、代替方法として、MTM1遺伝子の欠損型モデルとMTM1変異mRNA注入型モデルを使用して今後の研究を進める。肝細胞特異的に正常なMTM1遺伝子を発現するトランジェニック系統を利用して、肝内の血管形態の異常が肝細胞の障害に起因するかどうかを調べる。さらに、肝組織を構築する他の細胞として胆管上皮細胞や肝星細胞があり、それらの細胞を可視化および正常なMTM1遺伝子を発現可能な系統を作製し、肝内の血管障害を増悪させる細胞の特定とイメージング解析を行う。さらに、炎症反応の誘導による血管傷害という視点から、マクロファージと好中球を可視化し、各免疫細胞の動態が病態進展に伴いどのように変化するかも調べる。今回発見されたMTM1機能欠損モデルによる肝細胞の毛細胆管の破綻はXLMTM肝障害を誘発する要因のひとつと考えられる。正常な肝細胞の毛細胆管の構築・維持には、毛細胆管の膜上に局在した細胞接着分子がアダプター分子を介してF-アクチンと結合することが重要であると考えている。そこで、MTM1機能欠損モデルにおいて、毛細胆管を構成する分子複合体の局在を検証する。
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