研究課題/領域番号 |
23K07350
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 達也 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60843753)
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研究分担者 |
高橋 良太 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80647660)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 膵臓癌 / 交感神経 / 腫瘍微小環境 |
研究開始時の研究の概要 |
膵臓癌は最も予後不良な癌の一つである。近年腫瘍微小環境における神経シグナルの役割が明らかになってきているが、免疫細胞などの間質への作用は明らかになっていない。本研究では交感神経シグナルが膵臓癌微小環境において抗腫瘍免疫の抑制に関わっているという仮説について、様々なマウスモデルを用いて検証する。アドレナリンβ2受容体シグナル阻害薬や交感神経除去、アドレナリンβ2受容体のノックアウトマウスとの交配により膵臓癌の進展の変化と共に抗腫瘍免疫にどのような変化が見られるかを解析し、膵臓癌における抗腫瘍免疫の低下を克服することを目指す。
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研究実績の概要 |
膵臓癌は豊富な間質を特徴としており、この腫瘍間質において様々な細胞が相互作用を及ぼしあうことによって腫瘍の進展を促進している。近年腫瘍微小環境における神経シグナルの役割が明らかになってきている。これまでの研究で膵臓癌においては癌細胞に対する交感神経・副交感神経シグナルの役割が報告されているが、免疫細胞や血管内皮細胞への作用については明らかになっていない点が多い。膵臓癌の微小環境においては抗腫瘍免疫が抑制されていることが治療を困難にしており、免疫チェックポイント阻害薬の効果も低いことが知られている。神経シグナルは免疫の調節にも関わることが知られており、腫瘍免疫についても重要な役割を持っていると考えられるが、詳細は明らかになっていない。本研究では交感神経シグナルが膵臓癌微小環境において抗腫瘍免疫の抑制に関わっているという仮説について、マウスモデルを用いて検証する。これまでの検討で、慢性膵炎を背景とした膵発癌マウスモデルにおいては腫瘍間質への炎症細胞の浸潤に加えて著明な神経細胞の増生も認められている。このマウスモデルに対して交感神経β2型受容体の阻害薬を用いて治療した結果、抗腫瘍免疫の抑制が解除され腫瘍進展の抑制が認められた。またこのマウスモデルに対して免疫チェックポイント阻害薬を投与したところ抗腫瘍効果が得られ、通常型の膵臓癌マウスモデルと比較して慢性膵炎を背景とした膵癌進展機序においてはより免疫細胞を標的とした治療が重要であると考えられた。今後さらに交感神経シグナルによる抗腫瘍免疫抑制機序について検討を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、慢性膵炎による発癌モデルを用いて交感神経の阻害や免疫チェックポイント阻害薬を投与し、治療効果を確認した。
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今後の研究の推進方策 |
今後はさらに交感神経シグナルによる腫瘍免疫への作用機序を解析するため、マウスモデルにおける交感神経シグナルのノックアウトの作用を検討する。
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