研究課題/領域番号 |
23K07360
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
三好 潤 杏林大学, 医学部, 准教授 (10528722)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 肝硬変 / 肝性脳症 / 消化管微生物叢 / 小腸 / マイクロバイオーム |
研究開始時の研究の概要 |
肝性脳症は肝機能低下に伴いアンモニア等の血中濃度が上昇することによって生じる精神神経症状である。本研究では、小腸微生物叢(マイクロバイオーム)に注目して肝性脳症に関与する小腸内微生物、代謝経路・産物、宿主因子を探求する。これにより、肝性脳症発症機序、治療標的を明らかにし、新たな治療法の開発につなげることを目指す。
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研究実績の概要 |
肝性脳症は肝機能低下に伴いアンモニア等の血中濃度が上昇することによって生じる精神神経症状である。肝性脳症を生じる代表的な肝疾患として肝硬変が挙げられる。これまで原因物質を産生する腸管細菌量を減少させることが肝性脳症の治療機序と考えられ、肝性脳症に対して非吸収性合成二糖類とカナマイシン等の抗菌薬の併用療法が長年にわたり用いられてきた。一方、わが国で2016年より肝性脳症治療として用いられる腸管非吸収性抗菌薬リファキシミン(RFX)の消化管微生物叢への影響についての知見は確立していない。我々は、肝硬変モデルマウスにRFXを投与することにより、肝線維化、血中アンモニア濃度が改善することを見出した。またRFXによる細菌構成の変化は大腸や糞便よりも小腸において大きく、小腸微生物叢の代謝機能パスウェイも変化していた。さらに、RFX投与により小腸粘膜におけるTLR4、抗菌ペプチドの遺伝子発現が低下していた。すなわち、RFXによる小腸マイクロバイオームの変化、小腸宿主因子の変化が、RFXの有効性に関与していることが示唆された。そして、臨床的改善効果と相関する小腸細菌叢における細菌属としてFaecalibaculum属、Akkermansia属が臨床的改善効果と相関することが明らかとなった。小腸マイクロバイオームを標的とした新規治療アプローチの開発を目指し、これらの細菌属を肝硬変モデルマウスに投与することによる小腸細菌叢の変化、臨床的有効性の評価、その機序の探求について検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肝硬変モデルマウスへのリファキシミン(RFX)投与実験におけるマイクロバイオーム解析として16S rRNAアンプリコンシーケンシング解析に加えてメタゲノムショットガンシーケンシング解析も含めて細菌構成のみならず機能面の評価を実施している。宿主因子については検体を採取してmRNAによる検討を行った。肝線維化、高アンモニア血症の改善に相関することが見出されたFaecalibaculum属、Akkermansia属の肝硬変モデルマウスへの投与実験を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
肝硬変モデルマウスに対するFaecalibaculum属、Akkermansia属の投与による小腸マイクロバイオームへの影響、臨床的有効性についての検討を進める。小腸微生物叢の変化、臨床的有効性を認めた場合には、その機序を探求することにより、小腸マイクロバイオームを標的とした新規治療アプローチの開発を目指す。
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