研究課題/領域番号 |
23K07387
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 愛知県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
羽場 真 愛知県がんセンター(研究所), 分子診断TR分野, 研究員 (50974789)
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研究分担者 |
田口 歩 愛知県がんセンター(研究所), 分子診断TR分野, 分野長 (50817567)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 膵癌 / PDXモデル / 腫瘍浸潤B細胞 / 自己抗体 / 癌抗原 / プロテオミクス / プロテオゲノミクス / 早期診断 |
研究開始時の研究の概要 |
癌に対する液性免疫応答は発癌過程の早期に誘導され、それに伴って癌抗原を認識する血中自己抗体が出現する。本研究では、膵癌PDXモデルの血中から単離したTIL-B由来自己抗体に結合している癌抗原の高感度プロテオーム解析を行う。これにより、TIL-B産生自己抗体が認識する免疫原性の高い新規癌抗原の同定から、革新的な膵癌治療標的分子、早期診断バイオマーカーの開発を目指す。
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研究実績の概要 |
膵癌は、もっとも予後が不良な固形癌の一つであり、革新的な膵癌治療法・早期診断法の開発が求められている。癌に対する液性免疫応答は発癌過程の極めて早い段階で誘導され、癌細胞の排除に働きうるとともに、癌抗原を認識する自己抗体が血中に出現することが知られてきた。また、液性免疫応答を担う腫瘍浸潤B細胞(TIL-B)が、腫瘍免疫微小環境で重要な役割を果していることが近年明らかになってきたが、TIL-Bが産生する自己抗体が認識する抗原についての解析はほとんどなされていない。本研究では、膵癌PDXモデルの血中からTIL-B由来の抗原―自己抗体複合体を分離し、我々が開発した超高感度自己抗体結合抗原解析を行うことで、TIL-B産生自己抗体が認識する癌抗原を網羅的にプロファイリングする。これにより、局所自己抗体が認識する免疫原性の高い新規癌抗原の同定から、革新的な膵癌治療標的分子、早期診断バイオマーカーの開発を目指す。 本年度は、膵癌PDXモデルの作成に並行して、予備的解析として、PDXモデルの血中から免疫グロブリン分画の単離と免疫グロブリン結合抗原のプロテオーム解析を行った。Rag2/Jak3二重欠損マウスの血液にヒトIgGを添加すると、マススペクトロメトリーでの定量値は添加量に比例した。免疫グロブリン結合抗原のプロテオーム解析では計239個のタンパク質が同定された。いくつか興味深い抗原が同定された一方で、約40%がマウスタンパク質であったことから、さらにマウス血漿由来タンパク質の混入を減らす必要があると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予備的解析として、PDXモデルの血中から免疫グロブリン分画の単離と免疫グロブリン結合抗原のプロテオーム解析を行った。Rag2/Jak3二重欠損マウスの血液にヒトIgGを添加すると、マススペクトロメトリーでの定量値は添加量に比例した。免疫グロブリン結合抗原のプロテオーム解析では計239個のタンパク質が同定された。いくつか興味深い抗原が同定された一方で、約40%がマウスタンパク質であったことから、さらにマウス血漿由来タンパク質の混入を減らす必要があると考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
現在各PDX症例の全エクソーム解析、RNAシーケンス解析を進めており、既存のアミノ酸配列データベースに基づく解析だけでなく、ゲノム、トランスクリプトーム情報から構築した症例固有の予測アミノ酸配列データベースに基づく解析と、データベース非依存性のMS/MSスペクトルに基づくde novoシーケンシング解析というプロテオゲノミクス的アプローチを導入して、異常スプライシングや遺伝子変異などに由来する未知のアミノ酸配列を持つ膵癌特異的抗原の同定を目指す。
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