研究課題/領域番号 |
23K07393
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
朴 成和 東京大学, 医科学研究所, 教授 (50505948)
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研究分担者 |
鈴木 伸三 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30723746)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 胃癌 / 5-FU / S-1 / PD-L1 / PD-1 / 抗PD-1抗体 |
研究開始時の研究の概要 |
5-FUによるPD-L1発現制御機序の解明とPD-1抗体耐性の克服を目的として、①胃癌細胞株・患者由来癌オルガノイドにおける低濃度5-FU長期暴露によるPD-L1の発現の変化、RNAseq解析を行い5-FUによるPD-L1発現誘導の機序を特定する。②NFATレポーター組み込みJurket細胞との共培養下で5-FUによって誘導されるPD-L1によるNivolumab耐性の寄与を検証する。③S-1を増量した第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を行い、臨床サンプルにてS-1増量に伴うPD-L1発現の変化を検証する。④血管新生阻害剤を使い5-FUによるPD-L1発現増加の抑制とNivolumab効果増強を検討する。
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研究実績の概要 |
本研究では、胃癌においてフッ化ピリミジン製剤の併用がPD-L1発現に与える影響を精査しるため、まず、フッ化ピリミジン製剤耐性の細胞株を樹立することを目指した。Kras-LSL-G12D、CDH1 flox/flox、TGFBR2 flox/floxを交配した遺伝子改変マウスより、胃オルガノイドを作成した後、レンチCreウィルスにてloxpカセットの組み換えを誘導しKras-G12D;CDH1-KO;TGFBR2-KOオルガノイドを作成した。次に、これをWTマウスに皮下移植し腫瘍形成能があることを確認した。作成した癌オルガノイドを、フッ化ピリミジン製剤である5-FUに低濃度で暴露し続けることで、5-FU耐性の癌オルガノイドを作成した。5-FU耐性となった癌オルガノイドの増殖能や浸潤能を5-FU感受性オルガノイドと比較したが、増殖能や浸潤能の明らかな亢進は観察されなかった。 次に実臨床において、フッ化ピリミジン製剤がPD-1抗体治療に与える影響を精査するため、フッ化ピリミジン製剤であるS-1錠が、体格の優れる患者において増量が可能である点に注目した。胃癌の一次治療としてS-1錠と白金製剤であるオキサリプラチンおよびPD-1抗体薬であるニボルマブの併用が標準療法であり、この治療を受ける患者の中で年齢、性別、身長、体重、血中クレアチニン値から計算出来るS-1用量算出式(BBT formula)にて、添付文書用量を超える投与量を推奨された患者のS-1投与量を増量する特定臨床研究(HER2陰性切除不能・進行再発胃がんに対するBBT式に基づく最適用量のS-1を含むS-1+オキサリプラチン+ニボルマブ併用療法の安全性および有効性評価のための第I/II相試験)を、立ち上げた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
免疫チェックポイント阻害剤の腫瘍移植モデルでは、免疫不全マウスではなく、WTマウスに腫瘍形成が可能であることが重要であるが、本研究では、WTマウスに移植可能な細胞株の取得に成功することができた。また、フッ化ピリミジン製剤の用量変更が与える影響を精査するための特定臨床研究を新たに立ち上げることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、作成した5-FU耐性オルガノイドおよぼ細胞株において、PD-L1の発現の変動があるのか、および血球系細胞との共培養し血球系細胞の免疫活性を測定することで、癌細胞株の免疫原性がどのように変化しているか評価する予定である。また、開始した特定臨床研究を進めることで、フッ化ピリミジン製剤と免疫チェックポイント製剤の相互影響を臨床的に評価する予定である。
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