研究課題/領域番号 |
23K07400
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
神谷 武 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (10254301)
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研究分担者 |
鵜川 眞也 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (20326135)
植田 高史 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (90244540)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 腸管慢性炎症モデル / 機能性消化管障害 / 機能性消化管疾患 / 腸管慢性微小炎症 / 消化管運雄 / 内臓知覚 / 脳腸送還 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、機能性消化管疾患(FGID)の重要な病態生理として、微小な腸管慢性炎症が注目されている。本研究では腸管に発現する新規イオンチャネルASIC4に着目し、腸管慢性炎症FGIDモデルマウスを用いてFGIDの病態へのASIC4の関与を検討する。また遺伝子改変動物を利用し、分子生物学、形態学、生理学的手法を駆使し、消化管における慢性炎症と運動異常や知覚過敏、腸管透過性亢進等の機能障害との関連、およびその分子メカニズムを追求する。あわせてASIC4の消化管での種々の機能を解析し、有効な治療の乏しいFGIDに対する新たな治療法への応用について検討する。
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研究実績の概要 |
消化管機能障害を呈する腸管慢性炎症モデルとして、マウスを用いたDextran sulfate sodium (DSS)腸炎治癒期のモデルを作製し、その病態生理機構を検討した。その結果として、DSS投与1週間でマウスの体重は減少から増加にシフトし、2週間後には体重、飲水量ともにDSS投与前のレベルに戻った。炎症の指標である大腸の長さもDSS投与4日後に最も短くなり、その後1週間、2週間と徐々に回復した。組織所見では、DSS投与4日御に杯細胞の膨化と脱落、炎症細胞の浸潤がみられ、1週間後にはまだこの状態が持続した。CD45は激増し、一部筋層まで浸潤がみられた。2週間後には上皮は回復した。炎症細胞浸潤は減少に転じたものの、まだ持続していた。炎症性サイトカイン遺伝子については、DSS投与4日、1週間後ではIL-6, TNF-a, IFN-gの増加がみられ、2週間後の回復期にはIL-4, IL-5, IL-13の2型サイトカインとCalcaの増加を認めた。結果のまとめとしては、DSS腸炎は既報のとおりIL-6を中心とした炎症で、CD45陽性細胞が粘膜結合組織と筋層で増加していた。またDSS腸炎回復期には2型サイトカイン遺伝子の発現が起こっていた。DSS腸炎回復期の病態に2型サイトカイン遺伝子が関与するという点は新たな知見であり、子この結果は、腸管慢性炎症モデルとしてのDSS腸炎の基本的病態、今後消化管機能障害と関連性を検討していくうえで、重要かつ意義深い知見であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
消化管機能障害を呈する腸管慢性炎症モデルとして、マウスDSS腸炎治癒期のモデルの基本的病態を検討し、その病態に2型サイトカインが関与する可能性を示すことができた。初年度の計画としてはおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
消化管機能障害を呈する腸管慢性炎症モデルとしてのマウスDSS腸炎の回復期に、2型サイトカインが関与している可能性が示された。今後このモデルを用いて消化管機能との関連性、新規インチャネルのその病態への関与の可能性などをノックアウト(KO)マウスも用いて検討を進めていく予定である。
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