研究課題/領域番号 |
23K07420
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
山野 泰穂 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (30521158)
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研究分担者 |
鈴木 拓 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20381254)
吉井 新二 札幌医科大学, 医学部, 講師 (60865294)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 大腸鋸歯状腺腫 / 背景粘膜 / エピゲノム / DNAメチル化 / ヒストン修飾 / 大腸鋸歯状病変 / 発がんリスク予測 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、多発鋸歯状病変の背景粘膜におけるエピゲノム異常を明らかにすることで、腫瘍発生のメカニズムを解明し、大腸がんのリスク予測や予防につなげることを目指す。近年、組織学的に正常に見える大腸上皮であってもゲノム・エピゲノム異常が既に始まっていることが明らかにされつつある。しかし、背景粘膜のヒストン修飾異常の研究報告はいまだ乏しい。本研究で得られる知見は、形態学的には正常の大腸粘膜における発がんリスク予測や予防に応用しうる。本研究の成果と既存の診断法を組み合わせることで、大腸がんの罹患率・死亡率の低下に寄与すると期待される。
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研究実績の概要 |
本研究は大腸鋸歯状病変の背景粘膜におけるエピゲノム異常が、鋸歯状病変の発生にいかに関わるか、そしてそれは発がんリスク予測に応用可能かを明らかにすることを目的としている。今年度は内視鏡的に切除されたsessile serrated lesion(SSL、5例)および背景大腸粘膜(5例)より組織検体を採取した。また対照として大腸腺腫(5例)および背景大腸粘膜(5例)を採取した。採取した組織からゲノムDNAを抽出するとともに、新鮮組織を固定し、クロマチン免疫沈降(ChIP)実験に供した。ゲノムDNAからKRAS、BRAFなどの遺伝子変異解析およびCIMPマーカーのメチル化解析を行った。さらにInfinium BeadChipによる網羅的メチル化解析を行った。The Cancer Genome Atlasから大腸がん組織のDNAメチル化データをダウンロードし、併せて解析した。またヒストンH3リジン4トリメチル化(H3K4me3)およびヒストンH3リジン27トリメチル化(H3K27me3)をChIPシークエンス(ChIP-seq)法により解析した。ChIP-seqデータはBowtie2によりヒトゲノムhg38にマッピングし、macs2およびepicによりピークコールを行い、homerによりアノテーションを付与した。 解析の結果、SSLはいずれもCIMP陽性であることが確認された。SSLにおいてメチル化するCpG islandを同定した。これを背景粘膜のH3K4me3およびH3K27me3と統合解析した結果、SSLにおいてDNAメチル化するCGIは、背景粘膜においてH3K4me3レベルが低く、逆にH3K27me3レベルが高いことが示された。これらの結果から、背景粘膜におけるヒストン修飾とSSLのDNAメチル化との間には相関があることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
内視鏡的に切除された臨床検体(SSL、大腸腺腫、およびそれらの背景粘膜)を収集し、DNA解析およびヒストン修飾解析を行うことができた。網羅的なDNAメチル化解析およびChIP-seqデータ解析のパイプラインを構築することができた。またそれらの統合解析から予備的な解析結果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
さらに臨床検体の収集と解析を継続し、データを蓄積する。内視鏡的に切除された腫瘍検体および正常組織からオルガノイド培養の樹立を目指す。SSLの発症に関わる遺伝子候補を抽出し、定量PCRによる多数検体のスクリーニング系を構築するとともに、遺伝子の機能解析を行う。
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