研究課題/領域番号 |
23K07422
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
市川 尊文 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (30245378)
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研究分担者 |
川島 麗 北里大学, 医療衛生学部, 准教授 (70392389)
塩見 和 北里大学, 医学部, 講師 (50398682)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ムチン / DDS / 腹膜播種 / ゲムシタビン |
研究開始時の研究の概要 |
現状、腹膜播種に対して腹腔内化学療法が試行されているものの、5年生存率および患者のQOLを鑑みると、依然として末期癌という位置付けから脱することができず、抗癌剤供給法の新たな一手を考えなければならない。近年申請者は、粘液の主成分である腸管ムチンが自ら保水する機能をもつことを明らかにした。そこで、内部に封入された薬が徐々に放出する 徐放型DDS(ドラッグデリバリーシステム)の新規キャリア(デバイス)として「ムチン」を提案する。ムチン選定→薬物可溶化→生体毒性→抗癌効果→副次効果 の条件クリア式で実験を遂行し、腹膜播種に対する新規DDS治療の実用化へと繋ぐ。
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研究実績の概要 |
近年、化学療法による5年生存率は10%以下と予後不良である腹膜播種の予後を改善すべく、腹腔内化学療法が注目されている。その様な背景の中で、ドラッグデリバリーシステム(DDS)の薬物放出制御に着目した。この要素技術を生かして抗癌剤を徐放することで、投薬の頻度を抑えながらも高い薬効を期待できる。しかしDDSの薬物輸送体として多く利用されている高分子ミセルやリポソームは生体に対して毒性がないとは言い切れない。そこでDDSの新規材料として生体由来のムチンに焦点を当てた。ムチンは生体粘液の主成分となる高分子糖タンパク質で、ムチンの糖鎖に薬剤を封入し、腹腔内に滞留させられるのではないかと考えた。そこで本研究では、現在の主流の技術より安全かつ持続的な抗癌剤の投与を目指し、腹膜播種の予後改善につながる可能性を探索する。初年度は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)による抗癌剤ゲムシタビン(Gem)検出系の確立としてHPLCの血漿の前処理方法をOASISカートリッジ、Sep-pakカートリッジ、アセトニトリル沈殿法の3条件で検討した。アセトニトリル沈殿法でデオキシウリジン(dU:Gemの内部標準)の回収率が最も良好となった。カートリッジを用いた2条件では目的物質が溶出不良であり、夾雑物ピークが激減したアセトニトリル沈殿法の精製度が良好であった。今後、血漿の前処理方法としてアセトニトリル沈殿法の採用が最も適しており、次年度以降の計画において精度の高い検出系が確立された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題は、抗癌剤の正確な検出がポイントであり、共同研究者のパイロットスタディーを参考にHPLCプログラムをデザインしたため、効率よく精度の高い検出系を確立したと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度確立した検出系を用いて、Gem静注マウスの血中薬物濃度、マウス大腸癌細胞株を腹腔内移植したマウスの腫瘍と臓器におけるGem臓器吸収濃度の測定を行い、抗癌剤が腹腔内あるいは病巣における抗癌剤活性の時間的衰退の裏取を行う。
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