研究課題/領域番号 |
23K07448
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
新倉 量太 東京医科大学, 医学部, 准教授 (90625609)
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研究分担者 |
早河 翼 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60777655)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 胃内細菌叢 / 胃癌 / Driver bacteria / 腫瘍免疫 / 胃幹細胞 / 胃癌起源細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
胃癌は、主要な悪性腫瘍であり、ピロリ菌感染(HP感染)による慢性炎症が引き起こす萎縮、腸上皮化生と呼ばれる前癌病変として発症する。HP除菌後にも胃癌が発症することが判明しており、HP除菌だけでは十分に胃癌のリスクを減少させるに至っていない。本研究は、HP除菌後に検出される胃内細菌叢、その代謝物と腫瘍免疫、幹細胞に注目し、前癌病変における変化と相互作用メカニズムを解析し、HP除菌後胃癌リスク減少、予防効果をもたらす新規アプローチを探索することに焦点をあてる。
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研究実績の概要 |
日本ヘリコバクター学会とのネットワークを構築し、5施設(東京医科大学、東京大学、杏林大学、京都府立医大、鳥取大学)からHelicobacter pylori除菌後胃癌患者、Helicobacter pylori感染胃癌患者の胃粘膜ホルマリン固定薄切サンプルの収集を行った。年齢、性別、Helicobacter pylori感染状態により、Helicobacter pylori除菌後胃癌とHelicobacter pylori感染胃癌を3:1にて年齢・性別マッチングを施行した。マッチングの結果、Helicobacter pylori除菌後胃癌107人、Helicobacter pylori感染胃癌40人のデータセットを作成した。ホルマリン固定プレパラートから、顕教下にて胃癌部と非癌部のDNA抽出を行った。ホルマリン固定サンプルは新鮮胃粘膜サンプルと条件が異なることから、現在、16srRNAV3-4領域を標的とした、ホルマリン固定サンプルのアンプリコア解析の条件検討を実施している。平行して、MLH1、HER2、PD-L1、CD3/CD8、CD163の免疫組織化学染色を実施した。 また、MUC6欠損胃癌に関する遺伝子改変マウスモデルを用いた、発癌機序の研究の組織解析に関する共同研究を実施した。その他、研究グループが使用している大規模臨床データベースを用いて、胃内細菌叢に影響を与えるprobioticsが、消化管癌患者の免疫チェックポイント阻害剤に与える影響を評価し、probiotics使用者は非使用者と比べて免疫チェックポイント阻害剤使用期間がより長期間であることを明らかにした。さらに、別な大規模臨床データベースを用いて、胃内細菌叢に強い影響を与える酸分泌抑制薬の使用はHelicobacter pylori除菌後胃癌のリスク増加と関連がある可能性を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ピロリ菌除菌後胃癌の胃内細菌叢、腫瘍免疫に焦点を当てた、ヒト除菌後胃癌とピロリ菌陽性胃癌の臨床研究に取り組んでおり、概ね予定通りの進捗を得られている。
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今後の研究の推進方策 |
今後もホルマリン固定胃癌、非癌サンプルを用いた胃内細菌叢の解析、細菌叢に由来する代謝物の解析、ヒト側の腫瘍免疫反応に関する免疫組織化学の解析を継続していく。 ヒトサンプルを用いた解析結果が得られた後、オルガノイドモデルを含む癌細胞株モデルや遺伝子改変マウスモデルを用いた、driver bacteriaやその代謝産物が腫瘍のシグナル伝達に与える影響について解析を行うことを予定している。
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