研究課題/領域番号 |
23K07456
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
|
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
川村 聡 三重大学, 医学部附属病院, 医員 (90930868)
|
研究分担者 |
中川 勇人 三重大学, 医学系研究科, 教授 (00555609)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | 肝再生 / AFP / HCC / NASH |
研究開始時の研究の概要 |
αフェトプロテイン(AFP)は、肝臓癌(肝細胞癌)の腫瘍マーカーとして日常診療で広く使われている。一方で急性肝障害において血清AFPが高いと患者の予後が良いという報告があり、AFPを多く発現するAFP陽性細胞は細胞増殖能が高いであろうことが経験的に知られている。 近年我国では非アルコール性の脂肪肝からの発癌の割合が増加傾向であるが、これは慢性的な肝細胞の細胞死/増殖が繰り返された結果として考えられており、ここに増殖能の高いAFP陽性細胞が関与している可能性は十分考えられる。よって本研究では脂肪肝からの発癌におけるAFP陽性細胞の役割を明らかにして新たな治療を開発することを目的とする。
|
研究実績の概要 |
まずは肝障害時のAFP陽性細胞の特徴を解析するために、慢性肝障害マウスモデルであるMUPマウスの肝細胞シングルセルRNA-seqを行ったところ、AFP陽性細胞は特徴的なクラスター(集団)に分類されることがわかった。このクラスターに関連するパスウェイ解析を行ったところ、いくつか発現が大きく変化しているシグナルを同定でき、肝細胞のAFP陽性化に関与している可能性のある候補となるシグナルをみつけることができた。その上で、候補となるパスウェイが肝細胞内で活性化されるとしたら、どのようなレセプターを介してシグナルを伝えているのかについてもこのパスウェイ解析を通していくつか候補となるレセプターを絞ることができた。 さらに、空間遺伝子発現解析によってその周囲には特殊な微小環境が存在することも明らかになった。すなわち、肝障害時にはAFP陽性細胞となる肝細胞の周囲にある特定の細胞が肝細胞にはたらきかけAFPを陽性化しているものと思われた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肝障害時にどのようなシグナルが肝細胞をAFP陽性化させるのかについて、候補となるシグナルをいくつか同定できることができたため。 また、AFP陽性細胞の特徴をシングルセルseq解析を用いて、より深く解析でき、AFP陽性細胞の特徴のみならず、空間遺伝子発現解析によって、AFP陽性細胞の周囲の微小環境、周囲細胞とのインタラクションまで解析を広げることができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
上記解析で、AFP陽性細胞の発現に関わる可能性のあるシグナルについて、初代肝細胞に阻害薬を添付したり、またマウス肝細胞において候補遺伝子をノックアウトすることにより、本当にAFP発現に関わっているシグナルを同定する。 その上で、AFP陽性細胞がどのように肝障害時に肝再生に寄与しているのか、肝細胞内のシグナル分析と、肝細胞周囲の環境とのインタラクションを統合的に解析する。
|