研究課題/領域番号 |
23K07460
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
佐藤 伸哉 浜松医科大学, 医学部, 助教 (80333558)
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研究分担者 |
則武 秀尚 浜松医科大学, 医学部, 助教 (10467235)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | FASN / NAFLD / NASH / 化合物スクリーニング |
研究開始時の研究の概要 |
脂肪酸合成酵素(FASN)の肝実質細胞での発現亢進は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)発症に寄与するが、FASNの酵素活性阻害剤はオフターゲット毒性による副作用などの問題があり現在適応可能なNASH治療薬はない。本研究では、FASN産生低下を誘引する化合物を細胞アッセイ系にて探索、その効果をFASN発現亢進を伴うNASH誘発マウスモデルにて評価し、NASH治療薬になりうるFASN産生阻害剤を見出す。さらに、このFASN産生阻害剤と肝実質細胞でのFASNの発現が低下している別のNASH誘発マウスモデルを用いて、NASH下の肝非実質細胞におけるFASNおよび新規脂肪酸合成の関与を明らかにする。
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研究実績の概要 |
R5年度は主に本研究の標的タンパク質である脂肪酸合成酵素、FASNの発現を抑制する化合物のスクリーニングを、細胞内在性のFASN産生量を簡便に定量できるFASN-HiBiT細胞アッセイ系を用いて実施した。スクリーニングした化合物数は約20,000である。溶媒(DMSO)と比較してFASN-HiBiT活性を40%以下に抑えた化合物は98個であった。さらに肝がん細胞由来HuH-7やHepG2細胞にてFASN産生や細胞毒性への影響を調べ、11化合物にまで絞ることができた。現在、候補化合物のメーカーからの調達方法を検討している。調達次第、候補化合物のFASN産生抑制機序について解析する予定である。また、さらに優良化合物を絞って、マウス投与試験に移行する予定である。 ICRマウスにコリン欠乏メチオニン減量高脂肪食(CDAHFD)食餌を行い(広範囲の大脂肪滴および小規模線維化)、FASNを含む脂肪あるいは糖代謝関連遺伝子の発現解析を行ったところ、過去に報告されている通りFASNの発現は低下していた。また、高脂肪高ショ糖食を18~20週間給餌し(広範囲の脂肪滴の蓄積)FASNを含む脂肪あるいは糖代謝関連遺伝子の発現解析を行ったが、FASN発現増加は検出されなかった。そこで、高脂肪高ショ糖食餌直後の発現を調べてみたところ、絶食時と比較して4時間後には30倍にFASN mRNA量が増加しており、FASNによる脂肪酸合成亢進が脂肪肝誘導に寄与することは容易に予測できる。現在、予備的実験として、これら食餌下におけるマウス肝臓の増殖、実質、非実質細胞のマーカタンパク質の発現およびFASNタンパク質の発現を調べている。FASN抑制化合物を絞り次第、これら食餌下で投与し、肝病態への影響を解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
化合物20,000個のスクリーニングは完了したが、候補化合物の入手が容易ではなく、in vitroでの機序解析やマウス投与実験に進めなかった。
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今後の研究の推進方策 |
細胞アッセイ系を用いたスクリーニングによりFASN産生を抑制しうる候補化合物を得ることができた。今後は、それら候補化合物の細胞アッセイ系による毒性試験などを行い、候補化合物をさらに絞って、マウス投与試験に移行する。また、FASN産生抑制がmRNAレベルあるいは転写後制御レベルで起こっているのか、さらにはその抑制機序についても解析する。 高脂肪高ショ糖食餌下、薬剤により強制的にインスリン抵抗性を誘発することで脂肪肝、炎症、線維化を誘発できる報告がある。また、当研究室には別研究で作成したNASHモデルマウス(NASH関連SNP変異導入マウス)がある。これら肝病態誘発方法やマウスモデルも取り入れて進めることも検討する。
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