研究課題/領域番号 |
23K07482
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
中里 和彦 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (90363762)
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研究分担者 |
三阪 智史 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (50793080)
横川 哲朗 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (80748773)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 肺高血圧症 / 慢性血栓塞栓性肺高血圧症 / クローン造血 / JAK2 / リスク因子 / 進行メカニズム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は肺高血圧症とクローン性造血(CHIP)の関係を明らかにしようという観点からの検討であり、独自性が高い。この検討を介して、肺高血圧症WHO分類の第5群に分類されている骨髄増殖性疾患が肺高血圧症に結びつくメカニズムが明らかになる可能性がある。骨髄増殖性疾患の中で真性多血症、本態性血小板血症および原発性骨髄線維症は造血幹細胞のJAK2あるいはCALRの体細胞変異(gain of function)によるクローン性造血がそのほとんどの原因を占めることが報告されており、この点からも研究の切り口としてターゲットを絞りやすいと考えている。
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研究実績の概要 |
肺高血圧症とクローン性造血(CHIP)の関係を明らかにするという観点から、我々は造血幹細胞のJAK2変異に着目している。先行研究では肺高血圧症患者70名のうち、5名(7.1%)にJAK2-V617F変異の存在を検出した(Nat Commun. 2021; 12: 6177)。5名のうち2名は1群の肺動脈性肺高血圧症、3名は4群の慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)であった。我々の施設では、血栓内膜摘除術の適応にならない末梢型CTEPH患者に対して、積極的にバルーン肺動脈形成術(BPA)による治療を実施しているが、その患者群に関して、改めてJAK2変異のスクリーニングを実施した。その結果、調査対象者46名中4名(8.6%)からJAK2-V617F変異が検出された。年齢や性別をマッチさせた対象群(非肺高血圧)83名からはJAK2-V617F変異が検出されなかったため、CTEPHと血液細胞のJAK2-V617F変異との間には何らかの関連が示唆される。現在、このJAK2変異がCTEPHの血栓形成に関わるメカニズムを探るための基礎研究を開始している。具体的には、JAK2-V617F変異を持つ遺伝子改変マウスの下大静脈に狭窄病変を作り、静脈血栓形成と生存率について野生型マウスとの比較実験を行った。その結果、JAK2変異マウスにおいて血栓形成が増悪し、生存率も低下した。現在のそのメカニズムを解析するため、組織学的検討および細胞内シグナル伝達についての基礎的検討を行っている。CTEPHにおいては、病因背景として静脈系の血栓形成と線溶系の異常の存在が想定されているが、そのメカニズム解明の一助になる検討と考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肺高血圧患者のエントリーとデータベースへの登録作業は、倫理委員会の承認のもとに順調に進められている。当講座の先行研究以降に登録された患者について、クローン性造血のうちJAK2-V617Fの変異について、追加スクリーニング検査を行っている。その結果、上述のように4群肺高血圧である慢性血栓塞栓性肺高血圧(CTEPH)患者の8.1%にJAK2-V617Fの変異のCHIPが検出された。現在、このJAK2変異がCTEPHの血栓形成に関わるメカニズムを探るために、上述のようなJAK2-V617F変異を持つ遺伝子改変マウスを用いた静脈血栓症についての基礎研究を開始している。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画では、クローン性造血(CHIP)と肺高血圧症の関連を次世代シークエンサーを用いて網羅的に調査する予定であったが、その後に他国から同様の視点の研究発表があった。心エコー検査での推定肺動脈収縮期圧が40 mmHgを超える1万2千人余りの患者(平均年齢55歳)の血液細胞を解析した結果、全体の3.9%にあたる477人からCHIPが検出された(Heimlich, JB et al. Arteriosclerosis, Thrombosis, and Vascular Biology. 2022; 42: A399)。この研究では、解析したCHIP(DNMT3A, TET2, ASXL1, PPM1D, and JAK2)の中で、唯一JAK2の異常のみが肺動脈圧の上昇と関係しており、年齢や性別、人種などを補正した後も相関関係が残ったと報告されている。我々は元々JAK2-V617F変異のクローン性造血と肺高血圧症の関連について着目しており、他のCHIPと肺高血圧との関連にも興味を抱いていたのであるが、この報告では、我々も検討しようとしていたDNMT3A、TET2、あるいはASXL1と肺高血圧症とは関連がなかったとの結論であった。血液細胞からのゲノムシークエンスは時間とコストがかかるため、元々の方針で研究を進めるべきかどうか、研究方針の修正も含めて現在慎重に検討しているところである。
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