研究課題/領域番号 |
23K07486
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
岸 拓弥 国際医療福祉大学, 福岡薬学部, 教授 (70423514)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 慢性心不全 / アストロサイト / 交感神経 / 運動 / 心不全 / 脳 |
研究開始時の研究の概要 |
脳卒中・循環器病克服5ヶ年計画の主要3疾病の一つで年齢調整死亡率も悪化している慢性心不全は、交感神経やレニン・アンジオテンシン系の過剰な活性化を伴い脳が制御する多臓器連関循環恒常性維持システム破綻である。そこで本研究では、アストロサイトのアクアポリン4機能不全によるグリンパティックシステム不全が交感神経活性化を介して慢性心不全を進展させるとともに、アストロサイトのアクアポリン4機能不全によるグリンパティックシステム不全が運動による慢性心不全治療の重要な経路であるという仮説を検証する。研究の結果は、パンデミックとすら言われる慢性心不全の新たな治療標的創出・治療開発への基盤へとつながる。
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研究実績の概要 |
脳卒中・循環器病克服5ヶ年計画の主要3疾病の1つでありながら1年死亡率は16%にものぼり年齢調整死亡率も男性では悪化している慢性心不全は、交感神経やレニン・アンジオテンシン系の過剰な活性化を伴い脳が制御する多臓器連関循環恒常性維持システム破綻である。本研究では、脳内グリア細胞アストロサイトのドレナージシステム(グリンパティックシステム)を規定しているアクアポリン4異常によるグリンパティックシステム不全が交感神経活性化を介して慢性心不全を進展させ、アストロサイトのアクアポリン4が慢性心不全の重要な治療標的でありグリンパティックシステムが運動による慢性心不全治療の重要な経路であるという仮説を解明することである。 研究初年度である2023年度は、慢性心不全モデル動物におけるグリンパティックシステムと交感神経活動の解析を予定していた。慢性心不全の動物モデルとしては、応募者がすでに先行研究で作成した実績がある冠動脈結紮誘発心筋梗塞による収縮不全型心不全モデル・Dahl食塩感受性ラットへの食塩負荷による高血圧性心不全モデル・自然発症高血圧ラットへの経口塩分負荷+アンジオテンシンⅡ持続静脈内投与による重症心不全モデルを使用する計画であった。いずれの心不全モデルにおいてもアストロサイトが活性化形態となりアポトーシスを生じているものもあり、アストロサイトに発現しているアクアポリン4は減少していた。また、グリンパティックシステムの機能が低下していることが確認できた。慢性心不全モデルでは24時間蓄尿による尿中カテコールアミン排泄量およびラジオテレメトリーシステムで測定した収縮期血圧変動周波数解析による交感神経活動が亢進していることも確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、3年の研究期間中に、脳内グリア細胞アストロサイトのドレナージシステム(グリンパティックシステム)を規定しているアクアポリン4異常によるグリンパティックシステム不全が交感神経活性化を介して慢性心不全を進展させ、アストロサイトのアクアポリン4が慢性心不全の重要な治療標的でありグリンパティックシステムが運動による慢性心不全治療の重要な経路であるという仮説を解明することである。 研究初年度である2023年度の計画は、慢性心不全モデル動物におけるグリンパティックシステムと交感神経活動の解析を予定していた。進捗としては、冠動脈結紮誘発心筋梗塞による収縮不全型心不全モデル・Dahl食塩感受性ラットへの食塩負荷による高血圧性心不全モデル・自然発症高血圧ラットへの経口塩分負荷+アンジオテンシンⅡ持続静脈内投与による重症心不全モデルにおいてアストロサイトが活性化形態となりアポトーシスを生じていることが確認でき、アストロサイトに発現しているアクアポリン4は減少していることも確認できた。グリンパティックシステムの機能がいずれの慢性心不全モデルにおいても低下していることも確認できた。さらに、慢性心不全モデルの交感神経活動も評価した(亢進していることはすでに既報あり)。しかしながら、血圧変動周波数解析による交感神経活動評価が、ラジオテレメトリーシステム送信機の購入時期が遅くなったため十分とはいえず、実験計画全体でも予定していたサンプル数に至っていない。以上より、2023年度については「やや遅れている」状態である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後については、2023年度は進捗がやや遅れているので、2024年度はまず2023年度の計画の未達成部分を実施したのちに2024年度および2025年度の実験計画を推進する。 2024年度は、まず2023年度にやや遅れている実験のサンプル数を計画している数まで行ったのちに、慢性心不全モデルで機能不全となっていることが確認できた脳内アクアポリン4を活性化することによる、慢性心不全モデル動物の交感神経・循環動態評価を行う。収縮不全型心不全・拡張不全型心不全・重症心不全モデルラットのグリンパティックシステム不全になっている心不全状態が確立した作成1週間目から4週間、アクアポリン4活性化作用のあるエリスロポエチンを浸透圧ポンプで脳室内投与を行い、人工脳脊髄液脳室内投与群を対照群として、グリンパティックシステム・血行動態・交感神経活動・アストロサイト形態・アクアポリン4発現の評価を行う。 2025年度は、運動によるグリンパティックシステム改善評価を行う。収縮不全型心不全・拡張不全型心不全・重症心不全モデルラットのグリンパティックシステム不全になっている心不全状態が確立した作成1週間目から4週間、トレッドミルによる運動(強度・時間は以前応募者が論文発表済みの条件を用いる)を行い、グリンパティックシステム・血行動態・交感神経活動・アストロサイト形態・アクアポリン4発現の評価を行う。
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