研究課題/領域番号 |
23K07500
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
山口 高志 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (60626563)
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研究分担者 |
山本 一夫 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任教授 (20174782)
池原 早苗 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (50598779)
大木 翔太 千葉大学, 大学院医学研究院, 技術職員 (80916180)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 心筋炎 / 疾患動物モデル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は「心筋炎が線維化により心不全へと進展するだけでなく、肺・肝・腎での線維化を生じて多臓器不全へと進む臓器連関のメカニズムを明らかにすること」である。独自の心筋炎モデルマウスを用いて、心臓および連関臓器(肺・肝・腎)の破壊と線維化もたらす分子メカニズムを明らかにすることで、これら臓器の破壊と線維化の抑制および正常組織の再生を促進するという複合的な多臓器不全の治療法開発に資する学術基盤の構築を目指す。
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研究実績の概要 |
実験計画の初年度にあたる令和5年度では、当初計画通り、本研究の基盤となる心筋炎・心不全発症モデル遺伝子改変マウスの増産に努めた。さらに、基本的な病理学的解析データ獲得に必要となる当該心筋炎・心不全発症モデル遺伝子改変マウスの心臓および、当該心筋炎・心不全の影響を受ける可能性のある遠隔臓器の病理標本の作成作業を進めた。さらには、当該マウスに施された心筋炎・心不全を誘導する遺伝子改変が、実際のマウスの生存性にどの程度影響するか明らかにするため、統計学的に意味のある規模数のモデルマウスを用いて、実際に心筋炎・心不全発症実験を行った。具体的には、心筋炎・心不全発症モデル遺伝子改変マウスのグループと、当該遺伝子改変を持たないネガティブコントロールリッターメイトマウスグループを用意し、それぞれのマウス群に対して心筋炎・心不全を誘導する措置を施した。その結果、ネガティブコントロールリッターメイトマウスグループに比べて、心筋炎・心不全発症モデル遺伝子改変マウスグループでは、統計学的に有意な生存期間の短縮が確認された。一方、複数の心臓標本を用いた病理解析の結果、心臓に強い炎症反応、心筋組織の破壊および線維化が確認できたことから、計画通り、心筋炎が誘導されること、そしれそれに伴う心臓の機能不全が当該モデルマウスの主たる死因であるものと結論づけられた。さらには、次年度に計画する病変部位の遺伝子発現プロファイル解析のために必要とされるRNAを抽出することを目的として、心臓、および心筋炎・心不全の影響を受ける可能性のある各種遠隔臓器の採取・保管作業を当該年度末期に遂行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初期計画では、「今後の研究の推進方策」の項目でも示す、RNA-seq系解析が予定されている。当該解析には、前提として、遺伝子改変マウスに施すどのような心筋炎・心不全誘導条件で、どの程度の病変・症状が出現するかを理解しなければならなかった。また当該理解のためには、統計学的に意味のある数で、初期病変はいつ頃現れるのか、いつ頃致命的な状況に陥るのかを理解する必要があり、生存曲線データの取得も必須であった。実際に、初年度で当該生存曲線データが獲得できたとともに、病変の進行過程を理解するのに十分な数での病理標本の獲得も並行して実施できたことから「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
心筋炎・心不全を発症したマウスの心臓組織から高品質のtotal RNAの回収を実施する。次に、当該 total RNAを対象とした簡易的なバルクmRNA-seq解析を実施することで、マウスに発症した心筋炎・心不全の遺伝子発現プロファイル変化の全体像の把握に努める。当該結果によって合理的と判断される場合は、心筋炎・心不全発症マウスに蛍光レポーターマウスの骨髄をあらかじめ移植しておいた後、心筋炎を発症させ、心筋組織内の蛍光タンパク質陽性の骨髄由来細胞が心臓の線維化元細胞かどうかを理解する。逆に、骨髄由来細胞が線維化の原因でないと判断された場合、線維化の主な原因が心筋間質にある既存の間質細胞にあるかどうか確認する。具体的には、コラーゲン系プロモーターの下流に蛍光タンパク質を接続した改変遺伝子座をあらかじめ心筋炎・心不全マウスに載せておくことで、心筋内間質細胞を蛍光タンパク質でラベルしておく。その後、心筋炎を発症させ、線維化組織の形成と蛍光タンパク質の発現状態を病理組織学的に確認することで、心筋炎による心臓の線維化の主な源が心筋に元から存在する間質細胞であるかどうかの結論を得る。最後に、上記で蛍光ラベルされた線維源細胞について、scRNA-seq解析あるいは空間RNA-seqの実施を検討する。
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