研究課題/領域番号 |
23K07501
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
東邦 康智 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10586481)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 心不全 / 炎症 / RNA代謝 / 蛋白質相互作用 / ミトコンドリア / 液液相分離 / 核酸治療 |
研究開始時の研究の概要 |
心不全は予後不良の病態であり、新規治療法の開発が急務である。心不全の病態生理には炎症が寄与している。しかし、炎症は諸刃の剣であり適切な治療標的が不明であった。申請者は炎症の有益性と有害性を分ける分子として転写調節因子IκBζを同定した。IκBζは心不全期に発現が増加し、蛋白質相互作用を介して機能する。また、その機能はRNA代謝やDNAとの相互作用により制御される。しかし、心臓における具体的な相互作用の動態と心不全を引き起こす機序は不明である。本研究では心不全発症におけるIκBζを軸としたDNA、RNA及び蛋白質の相互作用の役割を統合的に理解し、それらを標的とした心不全治療の創薬基盤を確立する。
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研究実績の概要 |
2023年度は、心筋細胞特異的にIκBζを過剰発現させたマウス、IκBζヘテロ欠損マウスとヒト心臓検体を用いて、IκBζの心不全発症における役割の検討を行った。 まず、ヒト心臓移植レシピエント心と心臓病を有さない剖検心との比較により、不全心においてIκBζの発現が増加していることを確認した。次に、心筋細胞特異的にIκBζを過剰発現させたマウスを作成し、大動脈縮窄術による圧負荷を加えて心機能や遺伝子発現の経過を評価した。同マウスでは野生型マウスと比較して圧負荷後の心リモデリングと左室収縮能障害が増悪することを確認した。また、圧負荷後の心筋細胞特異的IκBζ過剰発現マウスの心組織では、野生型マウスの心組織と比較してミトコンドリア機能障害が大幅に悪化する他、トランスクリプトーム解析によりフェロトーシス関連遺伝子の発現が増加することを明らかにした。なお、圧負荷を加えていない状態では、心筋細胞特異的IκBζ過剰発現マウスと野生型マウスの心臓の機能や構造に有意な差は認めず、IκBζはストレス応答性に機能することが示唆される。 さらに、これまでに同定したIκBζの結合蛋白質の心臓における動態の評価とその機能の解析を行った。結合蛋白質の一つは野生型マウスの不全心でその発現が低下するが、IκBζヘテロ欠損マウスではその発現は増加していた。同結合蛋白質の機能抑制は心臓におけるミトコンドリア機能障害につながった。また、別の結合蛋白質についてはその発現量は圧負荷後も変化を認めなかったが、同タンパク質が介在する液液相分離はIκBζヘテロ欠損マウスで促進していたことから、IκBζが液液相分離を抑制することによって遺伝子発現パターンを変容させることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、心筋細胞特異的IκBζ過剰発現マウスの解析とIκBζ結合蛋白質の動態及び機能解析を予定していた。それらの解析は予定通り順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
分子標識技術を用いた細胞実験や遺伝子改変マウスを用いたマルチオミックス解析を通じて、IκBζの発現及び機能の制御機構を解明する。
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