研究課題/領域番号 |
23K07517
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
|
研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
原田 将英 藤田医科大学, 医学部, 准教授 (70514800)
|
研究分担者 |
常陸 圭介 藤田医科大学, 医科学研究センター, 講師 (10508469)
土田 邦博 藤田医科大学, 医科学研究センター, 教授 (30281091)
辻 幸臣 名古屋大学, 医学系研究科, 特任准教授 (60432217)
高木 靖 藤田医科大学, 医学部, 教授 (80324432)
井澤 英夫 藤田医科大学, 医学部, 教授 (80402569)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | 心房細動 / 心房リモデリング |
研究開始時の研究の概要 |
心房細動(AF)の病態には,心房の細胞・組織レベルでの機能的/構造的な変化(心房リモデリング, ATR)が重要な役割を果たす.ATRやAFに関連した血栓形成は右房と比較して左房で有意に進行する.しかし,心房間でATRの病態表現型が異なる機序は解明されていない.我々は,予備実験で左右の心房筋においてpaired like homeodomain 2(PITX2)とbone morphogenetic protein-10(BMP10)の発現が有意に異なることを見出し,PITX2とBMP10が非対称性のATRに関与している可能性を考えた.本研究は,AFによる非対称性のATRにおけるBMP10とPITX2の役割と関連する調節機構を解明し,AFの病態の解明と新たな治療戦略を開拓することを目的とする.
|
研究実績の概要 |
2023年度は、研究に十分な患者数と検体数を確保できるよう心臓血管外科で開心術が予定された心房細動患者を本研究に登録した。分子生物学的な研究結果をバイオマーカーによる臨床評価へ応用するために、心房組織の検体採取にあたっては、同一患者から血漿、血清も保存した。研究代表者は、予備実験で心房細動患者から左右同時に心耳組織を採取し遺伝子網羅的解析(次世代シーケンサー)や免疫染色を行っており、転写因子であるpaired like homeodomain 2(PITX2)の発現が右心耳に比べて左心耳で有意に増加し、一方でペプチド性増殖因子であるbone morphogenetic protein-10(BMP10)の発現が左心耳に比べて右心耳で増加している所見を得ている。本結果を基に、別の心房細動患者から左右の心耳組織を採取し、PITX2とBMP10を標的として定量PCR法とウエスタンブロッティング法で発現差を評価し予備実験の再現性を確認した。2023年度にはヒト心筋細胞の細胞株を入手し培養実験系を確立した上で、増殖因子であるBMP10の添加の有無によってPITX2の発現が変化するか否かを確認した。BMP10の発現が高い右心耳の組織培養をおこない、実際に右心耳からBMP10が分泌されるか否かを確認する予定であるが、組織培養とELISAを用いた実験系を確立し、ヒトの血清を用いて実験条件を確認した。2024年度にBMP10を含め心房・心耳の新たな分泌機能を有する細胞種を探索するため単一細胞(単一核)遺伝子解析を行う予定であり、本解析に適した保存条件で別途組織の採取を行った。また、PITX2の活性が心房細動の誘発性や心房リモデリングに関与するか否かを確認するためにPITX2遺伝子改変マウスの作成の準備を開始した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は例年に比べて対象となる疾患の心臓外科手術数がやや少なかった。このため、今後予定していた全ての実験解析を行うのに十分な検体の数が足りていない状況である。また、単一細胞(単一核)遺伝子解析や遺伝子改変マウスの作成の準備に時間を要しており当初の予定よりやや遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度においても対象となる患者を登録し、予定していた全ての実験と網羅的解析を基にした新たな仮説の検証実験を十分に行えるだけの検体数を採取する予定である。昨年度はヒト心筋細胞を用いた培養実験をおこなったが、2024年度には同様の実験をヒト心筋線維芽細胞で行う予定である。また、2024年度には次世代シーケンサーの結果を基にパスウェイ解析を行い、PITX2の活性化と関連するBMP10の下流シグナルを推定し、ウエスタンブロッティングや免疫染色で確認する予定である。昨年度に準備した心耳組織を用いた組織培養とELISAを用いたBMP10の発現の評価を2024年度に行う。また、単一細胞(単一核)遺伝子解析を行い左右の心房における未知の分泌系細胞種を探索する。昨年度から引き続きPITX2の遺伝子改変マウス作成に向けて準備を進める。さらに、2024年度には心房組織を採取した同一患者から血清や血漿におけるBMP10の発現も評価し、バイオマーカーとしての有効性も評価する予定である。
|