研究課題/領域番号 |
23K07521
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
渡邊 博之 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (80323145)
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研究分担者 |
高木 祐介 秋田大学, 医学部附属病院, 助教 (50625754)
佐藤 和奏 秋田大学, 医学系研究科, 助教 (50748283)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 心不全 / 微小循環 / 皮膚組織灌流 / 血管エコー / 組織灌流 |
研究開始時の研究の概要 |
心不全時の「組織低灌流状態」に関しては、客観的かつ利便性のある指標が存在しない。近年、低流速血流検出に優れた新規エコー技術 Superb Micro-vascular Imaging (SMI) が開発され、直接微小血流を可視化・定量化ができるようになった。 本研究では、SMI を指尖に適用した末梢組織灌流定量法の実現可能性を急性心不全例で証明し、さらに同方法の不顕性心不全や慢性心不全への臨床応用を図る。 その結果、「末梢組織灌流から心不全を診る」という新しい診療概念を提唱し、今後増加する心不全の診療に貢献したい。
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研究実績の概要 |
心不全の血行動態は「うっ血状態」と「低拍出/組織低灌流状態」の2つの次元で評価されるが、「組織低灌流状態」に関しては、脈圧や皮膚温・色から推定される程度であり、客観的かつ利便性のある指標が存在しない。本研究では、直接微小血流を可視可能なエコー技術Superb Micro-vascular Imaging (SMI) を用い、皮膚組織灌流の定量化とその心不全診療への臨床応用を目指す。R5年度は、指尖皮膚組織 SMI-VI で「組織灌流状態」の定量化を試み、その心不全患者の運動負荷前後での実用可能性を立証した。そこでは、6分間歩行前後での皮膚組織SMI-VIの変化量は、健常成人(n=25)と比べ心不全患者(n=18)で有意に低下していた(4.6±4.2 vs 2.0±1.6, p=0.02). この結果から、心不全患者では運動負荷後の皮膚組織灌流が低下していることが示された。ただし、HFrEF患者とHFpEF患者の比較では有意差は検出されず(p=0.55)、心不全患者での運動負荷後の組織灌流低下は、EFに依存したものではないと考えられる。 また微小循環の脈拍に応じた変動を運動負荷前後で解析したところ、健常成人では変動幅が有意に低下したが、HFrEF患者では変動が大きくなるという特性が見られた。このことは心不全群における微小血管弾性の低下が反映されている可能性がある。 他、R5年度に予定していたTAVR (経カテーテル大動脈弁置換術)後の組織灌流の改善度と予後との相関についての検討は、まだ症例数が8例と少なく、R6年度に症例数を増加させ検討を重ねたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
心不全患者での運動負荷前後での皮膚組織灌流の変化については、予定通りに研究が遂行されているが、TAVR 後の組織灌流の改善度についての検討は、対象患者が予想よりも少なく、思った以上には数が稼げていないため。
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今後の研究の推進方策 |
R5年度に着手した慢性心不全における運動負荷後組織灌流の変動と心血管イベント予後との相関については、更に症例数を増加させ、その予後追跡をR6年から開始する。R5年度予定より症例が集まらなかったTAVR 後の組織灌流の改善度と予後の相関についての検討は、R6年度対象者を増やし結果に結び付けたい。さらにR6年度から、心不全stage B 群症例中のstage C 易移行症例や不顕性心不全の早期検出の試みをスタートさせる。具体的には、運動負荷後の組織灌流増加の程度とその後 2 年間の BNP 推移から、stage B 群中の心不全リスク層別化を図る。
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