研究課題/領域番号 |
23K07530
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
成田 淳 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (70467562)
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研究分担者 |
石田 秀和 大阪大学, 大学院医学系研究科, 講師 (50467552)
八代 健太 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60432506)
相澤 健一 自治医科大学, 医学部, 准教授 (70436484)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 心臓移植 / 拒絶反応 / 免疫抑制薬 / マルチオミクス解析 / 空間的質量分析 / 空間的トランスクリプトーム解析 / 3Dイメージング |
研究開始時の研究の概要 |
2010年の臓器移植法改正以降も、わが国では依然脳死ドナー不足は著しく、特に小児の心臓移植後患者では長期にわたる良好な移植心管理が重要である。現在、定期的な心筋生検による拒絶判定が行われているが、これは病理医の肉眼的観察によってグレード分類が行われる古典的・主観的手法である。本研究では、これまで古典的な肉眼的観察のみであった移植後心筋組織に対して、これらのシングルセルや空間的マルチオミクス・質量分析と3Dイメージングを融合することで、移植心で起きている分子生物学的変化を細胞単位あるいは空間軸で網羅的に視覚化し、より良い移植後管理を目標とした新たなバイオマーカー同定や移植心管理の向上に挑戦する。
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研究実績の概要 |
当院で心臓移植後の管理を行っている小児心臓移植後患者から、診療上必要な定期の心臓カテーテル検査および心内膜心筋生検の際に、心臓組織検体の余剰検体を採取し、冷凍保存した。また、心臓カテーテル検査当日の免疫抑制薬の血中濃度トラフ値を免疫抗体法にて測定し、さらに、心臓組織検体採取のタイミングでの血液中の免疫抑制薬濃度を、免疫抗体法とともに、質量分析法にて解析した。解析した免疫抑制薬は、タクロリムス、エベロリムス、シクロスポリン、ミコフェノール酸およびその代謝産物のMPAGである。心筋組織中の免疫抑制薬の濃度については、質量分析法にて解析を行った。 トータル69検体を解析した。まず免疫抑制薬の血中濃度の測定として、一般臨床現場で行われている免疫抗体法と、より正確に化合物濃度を測定することができる質量分析法との比較を行ったが、非常に良い相関が得られた。次に、心臓組織中の免疫抑制薬の濃度と血中濃度との相関を検討したところ、トラフ値、心筋生検採取時ともに良好な相関が得られたが、タクロリムスおよびミコフェノール酸においては、心筋生検採取時の血中濃度の方とより強い相関を認め、心筋組織中の免疫抑制薬濃度も、血中と同じく内服後の時間によって増減していることが想定された。 さらに、細胞性拒絶や液性拒絶と心筋組織中濃度との関連を検討したが、今回の研究の実施期間中に有意な拒絶反応(Grade 3以上)を示した症例は無く、拒絶グレードと心筋組織中の免疫抑制薬濃度との関連は分からなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
質量分析法により、心臓組織内の免疫抑制薬化合物濃度を、小児心臓の心筋生検検体という微量検体から精度よく測定することに成功した。また、免疫抑制薬の血中濃度との相関関係を検討して、心筋組織中においても免疫抑制薬濃度は内服時間とともに増減している可能性が示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き症例を集積することで、心臓組織中の免疫抑制薬濃度と拒絶反応との関連についても検討できると考えている。また、拒絶反応を示す検体においては、マルチオミクス解析を実施し、より拒絶反応の分子メカニズムの詳細に迫れると考えている。
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