研究課題/領域番号 |
23K07537
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
及川 雅啓 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (30457775)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 心不全-がん連関 / NGF / TRKA / がん-心不全連関 / 液性因子 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的はがん・心不全に共通する液 性因子を同定し、がん・心不全を連関的に増悪させる機序を解明することである。 1 心不全血漿含有がんマウス、がん血漿含有心不全マウスを作成し、がん・心不全の液性因子が心不全増悪、がん進行に結びつくことを示す。 2 がん、心筋組織の網羅的RNA解析により、がん・心不全増悪に共通する液性因子のkeypathwayを同定する。 3 心不全発症がん患者、がん発症心不全患者の保存血を用い、key pathwayに関する液性因子を測定し、臨床においても液性因子を介したがん-心不全連関が成立することを示す。
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研究実績の概要 |
2023年度は液性因子によるがん-心不全増悪連関仮説の検証のため、がんマウス、心筋梗塞マウスでのパラビオーシスを行い、それぞれの液性因子の役割を検討する予定であった。しかし、パラビオーシス手技に難渋し、併体結合の成績が安定しなかった。そのため、急性心筋梗塞マウスモデルに乳がん細胞(4T1細胞)を接種し、心不全状態におけるがん進行を観察した。心筋梗塞により4T1細胞増殖は促進された。心筋梗塞時に液性因子としてNGFが増加することを見出し、NGFが4T1細胞増殖を促すことをin vitro実験で確認し、NGF受容体であるTRKAをsiRNAでノックダウンすることで、NGFによる4T1細胞増殖が抑制されることを確認した。また、TRKA阻害薬を心筋梗塞合併担乳がんマウスに投与し、乳がん進行抑制が得られることを確認した。がん転移にNGF-TRKA経路が関与するか確認するため、肺転移、肝転移数(がん結節数のカウント)の比較をTRKA阻害薬投与の有無で比較したが、有意な差は得られず、NGF-TRKA経路はがん増殖には関与するが、がん転移のメカニズムへの関与は少ないと判断んした。本実験により、NGF-TRKA経路が慢性心不全病態におけるがん進行メカニズムに関与していることが確認でき、JACC cardiooncology誌(J Am Coll Cardiol CardioOnc. 2024 Feb, 6 (1) 55–66)に論文が掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
心筋梗塞により増加したNGFががん進行に関与していることを示すことができ、心不全による液性因子ががん進行に関与する、という当初の目的の一部を示す結果が得られたが、がん進行が心不全を悪化させるかどうか、そもそもの予定だったパラビオーシスが成功していないため、手技の確認が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
パラビオーシスの安定した経過が得られるよう実験を継続する。 がん進行による何らかの液性因子が心不全進行に関与するか検討するため、がんマウスの血清もしくは担がん患者の血清を用いて、液性因子のスクリーニングを行う。
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