研究課題/領域番号 |
23K07556
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
市村 祥平 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (50921920)
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研究分担者 |
三阪 智史 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (50793080)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 心不全 / 好中球細胞外トラップ / NETs / NETosis / 拡張型心筋症 / ミトコンドリア機能 / 心筋リモデリング |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、心臓組織における好中球細胞外トラップに着目して、心臓ロバストネス破綻へと導く新規メカニズムとしてその意義を明らかにする。好中球細胞外トラップを引き起こす内因性因子を同定し、好中球細胞外トラップの包括的理解に基づき、心不全の新規病態解明を行う。好中球細胞外トラップ形成に必須と考えられているPAD4の遺伝子組み換えマウスを中心とした解析と心不全患者検体を用いた一貫したアプローチを通じて、好中球PAD4によるロバストネス制御機構をターゲットとした心不全の新規治療法の開発につながるか、その実現性を検証する。
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研究実績の概要 |
心不全の進展には、心筋細胞と血液細胞のクロストークが密接に関連している。本研究では、好中球の放出する細胞外トラップに着目し、心不全との関連を検討した。当院で心筋生検が施行された、心不全を有する拡張型心筋症 (DCM) 患者62名を対象とした。心筋組織の蛍光免疫染色を行い、好中球エラスターゼ陽性かつシトルリン化ヒストンH3陽性細胞を好中球細胞外トラップ (NETs) として同定した。 結果、NETsは32名に認められた。NETsを有するDCM患者 (N = 32) とNETsを有さないDCM患者 (N = 30) に分類し、詳細に検討を行った。NETsを有するDCM患者は、NETsを有さないDCM患者と比較して、左室駆出率は有意に低く、BNPは有意に高値であった。心筋組織の単位面積あたりのNETsの数は、左室駆出率と有意に負に相関し、BNPとは正に相関する傾向が認められた。また予後における検討では、NETsを有するDCM患者は、NETsを有さないDCM患者と比較して有意に心イベント発生率が高く、心筋組織におけるNETsの存在は、独立した予後規定因子であった。 これらの分子メカニズムの解明のため、我々は心筋細胞のミトコンドリア機能に着目した。野生型マウス由来の末梢血好中球を刺激し、NETsを誘導した培地上清を単離心筋細胞に加えたところ、心筋細胞のミトコンドリア機能が低下した。 以上のことから心筋組織におけるNETsは、ミトコンドリア機能障害を介して心不全患者の心機能障害と不良な予後に関連する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒト心筋生検検体を用いた検討はおおむね終了し、動物実験にも着手できているため。
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今後の研究の推進方策 |
動物モデルを用いた検討を行う。心不全モデルマウスを作成し、心筋組織におけるNETsと心機能を評価する。そして、NETs形成の阻害がミトコンドリア機能の改善や心機能のレスキューにつながるか検討する。
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