研究課題/領域番号 |
23K07564
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
相本 恵美 東邦大学, 薬学部, 助教 (20756358)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 心房細動 / 慢性容量負荷 / 薬物療法 |
研究開始時の研究の概要 |
心房細動の停止には電位依存性Na+チャネル遮断薬が著効するが、病態の進行に伴い有効域が毒性域と重なるため、次第に治療に用いることが出来なくなることが知られている。本研究は、安全域の狭い薬物においても効果的な治療を可能とするがん薬物療法のレジメンに着想を得て、異なる薬理作用の薬物を複数組み合わせることによる抗心房細動効果を、独自開発した心房細動モデルラットを用いて明らかにするものである。本研究による基礎的知見は、治療に難渋する持続性心房細動治療に対する安全かつ効果的な新規薬物治療戦略確立への展開が期待できる。
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研究実績の概要 |
心房細動の停止には電位依存性Na+チャネル遮断薬が著効するが、病態の進行に伴い有効域が毒性域と重なるため、次第に治療に用いることが出来なくなることが知られている。本研究は、安全域の狭い薬物においても効果的な治療を可能とするがん薬物療法のレジメンに着想を得て、異なる薬理作用の薬物を複数組み合わせることによる抗心房細動効果を独自開発したモデルラットを用いて明らかにすることを目的としている。本年度は、発作性心房細動の第一選択薬のひとつであるpilsicainideと持続性心房細動に対して治療効果を発揮するⅢ群抗不整脈薬amiodaroneが、心房細動モデル動物であるアルドステロン負荷・動静脈瘻ラットで誘発される心房細動に対する単剤使用時の効果を検討した。 動静脈瘻による慢性容量負荷とアルドステロン負荷を与えたラットでは、正常ラットに比べて心房拡大が生じ、高頻度刺激により誘発された心房細動の持続時間が3倍以上に延長した。これに対しpilsicainideおよびamiodaroneの急性投与は用量依存的に心房細動持続時間を短縮させ、pilsicainideは臨床用量相当量、amiodaroneは臨床用量の3倍の投与量でそれぞれ持続的時間を1/10に短縮させた。この時、pilsicainideは有意にP波幅、PQ間隔、QRS幅およびQT間隔を延長させ、血圧と心拍数を有意に低下させたが、amiodaroneはこれらの心電図指標および血圧にはほとんど影響を認めなかった。以上のことから、pilsicainideはamiodaroneに比べて強力な抗心房細動作用を持つ一方で、心血行動態および伝導障害を生じるリスクが高いことが、本モデル動物を用いた検討により明らかになった。今後は、Ⅳ群抗不整脈薬verapamiにおいても単剤投与による効果を検討するとともに、各薬剤の併用効果の検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
抗不整脈薬の複合的な効果を検討するための初期段階としてpilsicainideおよびamiodaroneの単剤投与の効果が明らかになったことに加えて、臨床において問題点とされるNa+チャネル遮断薬による血行動態および伝導障害作用が、独自開発した心房細動モデル動物を用いた検討においても抗心房細動効果を発揮する投与量で認められたことから、研究は概ね順調に進んでいる。今後は、このような安全域の狭い薬物においても効果的な治療を可能とする薬物の組み合わせや投与量の条件を検討することが課題となる。
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今後の研究の推進方策 |
Ⅳ群抗不整脈薬verapamiの単剤投与による抗心房細動効果を検討するとともに、今年度明らかにしたpilsicainideとamiodaroneの複合投与による抗心房細動作用、心血行動態および電気生理学的作用の検討に早急に着手し、効果的な治療を可能とする薬物の組み合わせや投与量の条件を検討する。
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