• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

心内膜特異的に発現するvon Willebrand因子の生理的意義と発現調節機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K07567
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分53020:循環器内科学関連
研究機関国立研究開発法人国立循環器病研究センター

研究代表者

樋口 由佳 (江浦由佳)  国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 上級研究員 (30443477)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワードVWF / フォンヴィレブランド因子 / 心内膜細胞 / von Willebrand因子 / 心内膜
研究開始時の研究の概要

von Willebrand factor(VWF)は止血機能に重要な血漿タンパク質である。VWFは血管内皮細胞と巨核球で産生され、必要に応じて血中へ分泌されるが、産生部位による生理機能などの違いは分かっていない。我々は、VWFの発現分布を調べる中で、心臓においてVWFは血管内皮細胞ではなく心内膜細胞特異的に発現することを見出した。両細胞で発現する他の血管内皮細胞マーカー分子と異なり、VWFの心内膜特異的発現には未知の重要性が隠されていると考え、本研究を立案した。「未解析の心内膜VWF」と「既知の血管内皮VWF」の分子性状の比較を軸に、心内膜VWFの生理的意義と制御機構を明らかにする。

研究実績の概要

止血因子von Willlebrand factor (VWF)は、これまでによく知られた止血反応における重要性だけでなく、血管新生や感染に伴う血栓症などでも注目されている。VWFは、血管内皮細胞および巨核球/血小板で産生されることが知られており、由来の異なるVWFの性状や機能の違いについても議論となっている。心内膜細胞は、心臓の内腔を覆う細胞であり、通常の血管内皮細胞とは細胞系譜およびその挙動も異なる。我々は、公開シングルセルデータの結果を検索する中で、心臓ではVWFが心内膜特異的に発現していることに着目した。心内膜細胞に限局して高発現するVWFには、心臓における何らかの特異的な機能があるという仮説のもと、解析を開始した。まず、シングルセルデータにあるようにVWFが心内膜細胞に特に強く発現することをマウス心臓の抗VWF抗体による組織染色によって確認した。その結果、 VWFが心内膜に高発現していることを確認できた。心内膜細胞におけるVWFの機能を探るために、VWFの分子性状や協働因子を調べることとした。そのために、マウス心内膜細胞の単離が必要と考えたが、これまでにマウス心内膜細胞の単離についての報告は存在していない。そこで、ラットおよびブタでの単離方法を参考に、条件検討を進めることとした。しかし、既報のラットと比較して1/20程度のサイズのマウスでは、心内膜への酵素液の暴露方法などの手技を踏襲しても同様の結果が得られないことが明らかとなった。そこで、心内膜細胞以外の剥離を最大限抑える酵素液の暴露方法の検討、酵素の種類の検討を進めた。また、これと並行して、心内膜細胞における機能と比較し、その特徴を浮き彫りにするため、VWFの供給源として知られる血管内皮細胞および巨核球/血小板由来のVWFを用いた比較解析の準備も進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の根幹である心内膜細胞におけるVWFの高発現について、マウス心臓の免疫組織染色により解析をおこなった。その際、VWFKOマウスをネガティブコントロールとして使用した。その結果、野生型マウスにおいて、心内膜における強い染色を検出し、マウス心内膜におけるVWFの高発現を確認することができた。マウス心内膜細胞の単離については、研究開始当初は、ラットおよびブタでの単離方法を参考に、条件の軽微な修正である程度の結果が得られると考えていたが、実際に実施してみると、既報のラットと比較して1/20程度のサイズのマウスでは、心内膜への酵素液の暴露方法などの手技を踏襲しても同様の結果が得られないことが明らかとなった。そこで、心内膜細胞以外の剥離を最大限抑える酵素液の暴露方法の検討、酵素の種類の検討を進めた。これらの解析によりマウス心内膜細胞の単離方法が確立できれば、心内膜研究にとって有用な方法となると考えている。

今後の研究の推進方策

今後も引き続き、心内膜細胞以外の剥離を最大限抑える酵素液の暴露方法の検討、酵素の種類の検討を進める。これらの解析によりマウス心内膜細胞の単離方法が確立できれば、心内膜研究にとって有用な方法となると考えている。マウス心臓の心内膜細胞の単離方法については、完成次第、論文化を進める。また、心内膜細胞に発現するVWFの分子性状について、VWFマルチマーの様式や血小板との結合親和性などについて、検討する必要があると考えている。その特徴を浮き彫りにするためには、VWFの供給源として知られる血管内皮細胞および巨核球/血小板由来のVWFを用いた比較解析が有効である。
心内膜細胞に発現するVWFの特異的機能については、心内膜細胞に特異的なVWFの協働因子が関与するのではないかと推察している。そこで、心内膜細胞のWeibel-Palade bodies(WPB)に含まれる因子と血管内皮細胞のWPBに含まれる因子の比較やVWF抗体による免疫沈降などを進めたい。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] von Willebrand factor Ristocetin co-factor activity to von Willebrand factor antigen level ratio for diagnosis of acquired von Willebrand syndrome caused by aortic stenosis2024

    • 著者名/発表者名
      Okubo N, Sugawara S, Fujiwara T, Sakatsume K, Doman T, Yamashita M, Goto K, Tateishi M, Suzuki M, Shirakawa R, Eura Y, Kokame K, Hayakawa M, Matsumoto M, Kawate Y, Miura M, Takiguchi H, Soga Y, Shirai S, Ando K, Arai Y, Nakayoshi T, Fukumoto Y, Takahama H, Yasuda S, Tamura T, Watanabe S, Kimura T, et al
    • 雑誌名

      Research and Practice in Thrombosis and Haemostasis

      巻: 8 号: 1 ページ: 102284-102284

    • DOI

      10.1016/j.rpth.2023.102284

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ロングリードのターゲットシーケンシングと全ゲノムシーケンシングを併用したADAMTS13遺伝子解析2023

    • 著者名/発表者名
      樋口(江浦)由佳,叶盛,松本雅則,小亀浩市
    • 学会等名
      日本血栓止血学会学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] VWF遺伝子解析の困難性を克服するロングリードシーケンシング法の構築2023

    • 著者名/発表者名
      叶盛,樋口(江浦)由佳,松本雅則,小亀浩市
    • 学会等名
      日本血栓止血学会学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Long range PCRを用いたロングリードシーケンシングのフェージング攻略法2023

    • 著者名/発表者名
      樋口(江浦)由佳,叶盛,松本雅則,小亀浩市
    • 学会等名
      日本生化学会近畿支部例会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi