研究課題/領域番号 |
23K07569
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高濱 博幸 東北大学, 医学系研究科, 講師 (10570301)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 心不全発症 / BNP / 疫学研究 / 心不全 / 早期発見 |
研究開始時の研究の概要 |
心不全とは何らかの心機能障害を背景に代償機転が破綻した結果、症状を呈し運動耐容能が低下する臨床症候群である。心不全症状が進行した患者の予後は依然として不良であり、心不全発症前の予防や治療(先制医療)が重要である。そのためには発症前のハイリスク患者の検出が求められる。本研究ではわが国の代表的な疫学研究のメガデータベースである東北メディカル・メガバンクのデータベースを基に、人工知能を駆使して心不全に対する超早期発症予測モデルの開発を目指す。
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研究実績の概要 |
東北メディカル・ メガバンクは東日本大震災で被害を受けた岩手県・宮城県の両県における震災に関連したストレスを調査する目的で創立された。宮城県もしくは岩手県に在住の成人男女87,865名が参加、同一の人の経時的な変化(複数年間隔)を測定している調査として日本最大規模である。また大規模な地震後の調査としては世界で唯一のコホート研究である。ここで心不全とは何らかの心機能障害を背景に代償機転が破綻した結果、症状を呈し運動耐容能が低下する臨床症候群である。心不全症状が進行した患者の予後は依然として不良であり、心不全発症前の予防や治療(先制医療)が重要である。そのためには心不全発症前のハイリスク患者の層別化が求められる。 本研究は東北メディカルメガバンクのデータベースを利用して、BNPの測定値を基盤として心不全ハイリスク群の層別化を行い、後視野的データベースから心不全発症の予測を行うものである。東北メディカルメガバンク において、NT-proBNPは現在までに48772名の参加者で測定されていた。既出報告等のsurveyの結果、および日本心不全学会の2023年のステートメントを参照しNTporBNPの下限のカットオフ値は125pg/mlとした。NT-proBNP値が125pg/ml以上の参加者は70歳以上の参加者では全体の23%に及んだ。次年度は心不全発症者についての評価、検証を行う。これらのデータベースを確立し、BNP値からのハイリスク者の絞り込み、さらに心不全の発症の予測を行う解析モデルの開発を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在までに東北メディカルメガバンクのデータ抽出を行い、データクリーニングを開始している。まず心不全の診断や重症度を評価するバイオマーカーであるNT-proBNPのカットオフ値の設定について検討を行った。既出報告からは、NT-proBNPについては、 心不全の診断としては300pg/ml , リスク評価に関するカットオフ値としては125pg/mlなどの報告がある。本研究では疫学研究における心不全のリスク層別化を主眼としていることから、本研究ではBNPカットオフ値を 125pg/mlへ設定した。 本解析にあたり、NT-proBNPの一次測定者は48772名となり、NT-proBNP値が125pg/ml以上の参加者は70歳以上の参加者では全体の23%に及んだ。またNT-pro125pg/ml以上の参加者においても心不全症状の自己申告がある参加者は全体の1.7%にとどまった。データ数が多く予定より時間を要しているが、次年度はこれらの患者群について実際の心不全発症の有無について郵送方法による確認作業を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
NT-proBNPカットオフ値以上( 125pg/ml )の参加者の頻度は参加者全体では10,000名あたり1,064名となり全参加者の10.6%と見込まれる。調査時点で既に心不全既往がある参加者を除外とした上で、本研究では上記のガイドラインにも順じ、「 1) 調査時点でNT-proBNPの基準値以上の上昇( >125pg/ml)でかつ 2)調査票による心不全入院が確認された 」の2点を満たした参加者を新規心不全発症と定義する。上記の概算によると約3万名の参加者のうち、NT-proBNP>125pg/mlを呈した参加者は最大でも3000名程度と予測され、これらの参加者は、調査票郵送により心不全発症の有無を確認する。また保険t登録病名などからの心不全発症者についての絞り込み方法についても検討中である。次年度は予後調査も含めたデータベースの完成を目指し、また次次年度にA Iを用いた解析に着手する予定である。
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