研究課題/領域番号 |
23K07582
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
早川 正樹 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (30516729)
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研究分担者 |
井上 雄介 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (80611079)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 抗VWF抗体 / 抗A/B赤血球高抗原 / 抗A/B赤血球高抗体 / 肺血栓塞栓症 / フォンヴィレブランド因子 |
研究開始時の研究の概要 |
肺血栓塞栓症(PTE)は肺動脈が血栓により閉塞し呼吸困難・循環不全を引き起こす疾患である。血液検査の「Dダイマー」は異常な血栓の存在を示し現在のPTE診断でも重要視される。しかしDダイマーは手術後やCOVID19では高率に上昇しており信頼性が低い。我々はPTEにより肺動脈が閉塞したときのみ止血因子である高分子VWFマルチマーが欠損することを発見し、Dダイマー高値症例における早期PTE診断方法の確立を目的とする研究を立案した。VWFマルチマーの欠損の変化を解析しPTEの早期診断・治療介入を目指す新しい研究分野のパイオニアとなる革新的研究を行う。
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研究実績の概要 |
1)肺血栓塞栓症(PTE)に伴うフォンヴィレブランド因子(VWF)の切断には血管内のせん断応力(ずり応力)によって高分子VWFが切断されると仮定される。しかし、VWFに対する自己抗体を保有する症例では、自己抗体による免疫応答によって高分子VWFが消失する。よって、PTEに伴う高分子VWF消失か、自己抗体による消失かを区別するため、抗VWF自己抗体検出ELISAの作成を行った。1980年代にSiakaらが酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)法を利用した抗VWF抗体検出法を提起したが、擬陽性が多いことが問題となり確立されていない。よってSeikaらのELISA法による抗VWF抗体測定が、なぜうまく作動しないのかについて検討した。VWFは特徴として血液型抗原であるABO抗原を有している。Seikaらの人血漿濃縮製剤由来VWF(pd-VWF)を固層化したELISA法の擬陽性の原因について健常人ABO各血液型32名(計128名)を使用し解析を行った。その結果健常人血漿の二次元電気泳動の結果、VWFは血中のIgG、IgMと高い親和性を有し非特異的結合することが示された。またpd-VWFはプール血漿由来であるため、A,B,O,AB型の血型の異なる血漿が混合している。非特異結合を軽減する緩衝液で血漿を希釈しSeikaらの検討したpd-VWF固層ELISAプレートでIgG,M型抗VWF抗体を測定すると。IgG型の擬陽性は完全に消失した。またIgM型の抗VWF抗体については、それぞれの検体の血漿中のIgM型抗A・B赤血球抗体量とほぼ一致していることが分かった。以上よりSeika法の擬陽性は1)VWFとIgG、IgMによる非特異的親和性と2)VWF上のA・B抗赤血球抗原と被検者血漿中のIgM,IgG型抗A・B抗体による抗原抗体反応と判明し、改善型ELISA法を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
従来の抗VWF抗体測定法の原因を特定に時間を要したため、その改良型ELISAを作成が遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
後天性フォンヴィレブランド症候群(AVWS)とはフォンヴィレブランド因子(VWF)の後天的異常による出血性疾患の総称である。大動脈弁狭窄症(AS)の大動脈弁圧上昇によりVWFが過剰切断され出血傾向となるAVWSは循環器領域ではよく知られている。 VWFは血小板を中心とする一次止血に働く因子である。一方フィブリノゲンや凝固因子は二次止血に関与るする因子である。AVWSは一次止血破綻による出血性疾患である一方、肺血栓塞栓症(PTE)は二次止血亢進による血栓塞栓疾患である。PTEでも肺動脈圧が上昇するためAS同様にVWFが過剰に切断されAVWSとなる可能性があるがその報告はない。よってPTEにAVWSが続発するか解析を行う。方法として奈良県立医科大学のPTE症例のVWFマルチマー解析、臨床データなどの解析を行う。
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