研究課題/領域番号 |
23K07595
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
鈴木 敏夫 筑波大学, 医学医療系 臨床腫瘍学/腫瘍内科, 講師 (70771856)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 肺癌オルガノイド / 癌ニッチ / 空間的トランスクリプト―ム / 細胞間相互作用 / オルガノイド創薬 / 薬剤耐性 / EGFR変異 / 患者由来オルガノイド / 癌関連線維芽細胞 / 薬効評価 / 癌微小環境 / 空間的トランスクリプトーム解析 |
研究開始時の研究の概要 |
肺がんゲノム解析が進展するにつれ、腫瘍細胞のヘテロさやniche細胞の重要性など、極めて複雑な癌の病態が疾患層別化におけるハードルになる事が明らかになり、その「エコシステム」を再現する研究プラットフォームの開発が望まれている。その実現方法として、幹細胞生物学分野を中心に発展したオルガノイド技術がある。本研究では、臨床検体から分離した肺癌細胞とヒト多能性幹細胞(iPS細胞)由来肺オルガノイドシステムを融合させることで、正常上皮細胞、間葉系細胞、そして免疫細胞からなる複雑な肺癌微小環境を再現したオルガノイドの作製方法を確立する。
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研究実績の概要 |
2023年度は肺癌患者より単離した癌細胞を用いたオルガノイド樹立を試みた。癌細胞単独でよりも、肺線維芽細胞共培養下、さらにiPS細胞由来健常下気道細胞との特殊共培養下での方が導出効率が高いことが明らかになった。後者においては実際の患者肺がんサンプルの組織像を模倣できており、既報のオルガノイドよりもよりニッチ環境生体模倣性のあるオルガノイドを樹立することに成功し、幹細胞医学領域における培養技術を癌領域に転用することに一定の成功を確認できた。以上を腺癌および扁平上皮癌モデルで技術確立した。また、オルガノイドのラベルフリー品質管理の一環として、OCTによる評価も実施した。 次に、先進ゲノム支援の技術支援を受け、EGFR変異肺癌オルガノイドのXeniumi in situ解析を実施し、Cell neighborhood ananlysesによるcell cell interactionが定量可能であることを明らかにした。EGFR-TKIによるdrug tolerant persisterオルガノイドモデルでの癌ニッチ相互作用の定量化に成功し、オルガノイド創薬のプラットフォームとして発展し得る可能性が示唆された。2023年度のcell segmentation技術では、細胞認識/定義がDAPI間の距離による大まかなcell segmentationであったため、割合としては多くはないが、単一細胞と認識した区画に一定の確率で多種の細胞がoverlapしている可能性がある部位を指摘し得た。2024年度における改善必要項目と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
想定していたよりも早期の段階で、肺癌オルガノイド樹立の技術的なフローを確立でき、さらに先進ゲノム支援の技術支援を2023年10月以降受けることができるようになったため、加速度的に研究開発が進んだ。初年度に達成を予定していなかった、オルガノイド初期プラットフォームにおけるXenium in situによる解析まで終了させることができ、次年度以降のオルガノイドのvalidationに必要なデータを入手することができた。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に実施したEGFR-TKIによるdrug tolerant persisterモデルについて、より長期的なタイムポイントでの解析を検討する。さらに、線維芽細胞について特異的に試薬介入を行い、いかに癌ニッチのcell cell interactionが変化していくかを定量化し、新規ターゲットを導出する予定である。
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