研究課題/領域番号 |
23K07603
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
堀益 靖 広島大学, 病院(医), 助教 (30748439)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | 夜間呼吸音 / 呼吸音モニタリング / 呼吸音 / 機械学習 |
研究開始時の研究の概要 |
気管支喘息は、気道過敏性の亢進や変動性の気道狭窄で特徴づけられる疾患であり、現在でも毎年約2000人前後が亡くなっている。喘息患者の聴診ではwheezesが特徴的とされているが、症状の日内変動や季節性変動のため昼間の外来受診時のみの短時間の聴診では患者の全般的な病状をとらえることは困難であった。さらに、wheezesをはじめとした呼吸副雑音の評価は担当医の主観に依存しており、客観的・定量的評価や経時的な呼吸音の記録は現在の日常臨床においては不可能である。 申請者らは、喘息患者の夜間の呼吸音の特徴を定量的に把握することが喘息コントロールのための新規評価指標となりうると考え、本研究を計画した。
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研究実績の概要 |
当院へ通院中の喘息患者のうち48名について研究参加の同意を取得し、外来受診時に電子聴診器(MSS-U11C)を用いて担当医による呼吸音の聴診を実施した。あわせて日本エア・ウォーター社製の貼付型呼吸音センサーを患者に貸与し、夜間就寝中の呼吸音を記録してもらい、その音データを収集した。現在、回収したデータの確認と解析作業を進めているが、貼付型呼吸音センサーの操作エラーによると思われるデータ欠損が7例、電子ノイズ等の雑音が多く解析が不可能であったものが7例に認められ、これらを除いた34例のデータを解析予定としている。 なお、一部の患者では、センサー貼付後しばらく起きて他者と会話したりテレビを見ていると思われるような音が記録されているケースがあり、記録データの中で実際に患者が就寝している部分のみを解析対象とするためにデータトリミング作業が必要であることが判明した。そこで、本解析に入る前の予備解析として、すべての記録データを確認して患者が覚醒していると思われる部分をトリミングし、真に就寝している部分のみを使用して本解析が行えるように現在作業を進めている。具体的には、音データを1つ1つ実際に聞いてみて、環境雑音が多く混入していたり明らかな話声が聞こえるなど、患者が覚醒していると思われる部分を同定して解析対象から削除する作業を行っている。 2024年4月の日本呼吸器学会にてデータトリミングを終えた症例に関する小数例のパイロット的な報告を行い、フロアの高い関心を集めて多くの建設的な意見をいただくことが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究対象としては当初50名程度を予定していたのに対し、実際に48名の患者をリクルートでき、症例数の目標は達成できたと考えている。データ解析については、上記の通り記録データの中で実際に患者が就寝している部分のみを解析対象とするためにデータトリミング作業が必要であることが判明し、当初の想定よりも時間を要しているが、トリミング作業が終わったものから順次本解析も行う方式で本年度中には全症例の本解析まで終了できる見込みである。臨床データとの相関の検討についてはまだ中途段階ではあるが、現時点までのまとめとして2024年4月の日本呼吸器学会にて成果を発表しており、今後の進め方について多くの建設的な意見を頂いた。
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今後の研究の推進方策 |
今後もデータトリミング作業を進め、順次Adobe Auditionソフトウエアを用いた本解析を始められる予定である。上述の通り臨床データとの相関の検討についてはまだ中途段階ではあるが、現時点までのまとめとして2024年4月の日本呼吸器学会にて成果を発表しており、今後の進め方について多くの建設的な意見を頂いた。その中で、データトリミングにかかる手間を減らす方策として終夜睡眠ポリグラフ検査を応用する方法を試してみてはどうかとの指摘があり、有用な可能性があると思われた。今後はこれらの意見も参考により簡便にデータトリミングを行う方法を探るとともに、すでに得ている34例のデータについて 本解析及び臨床データとの相関に関する検討を進めていく。
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