研究課題/領域番号 |
23K07619
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
藤野 直也 東北大学, 大学病院, 助教 (10633670)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 慢性閉塞性肺疾患 / マクロファージ / COPD / 肺胞マクロファージ |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者は、Siglec-1-肺胞マクロファージがCOPDの臨床病態に関連することを示し、その分子基盤を明らかにしてきた。本研究では、この独自に分離同定したSiglec-1-肺胞マクロファージに着目することにより、COPDの臨床病態における病原性を検証する。さらに、本細胞の分子基盤を明らかにし、増悪予測マーカーの確立、疾患修飾薬のための治療標的分子創出を目指す。
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研究実績の概要 |
慢性閉塞性肺疾患 (chronic, obstructive pulmonary disease, COPD) はタバコ煙等を長期に吸入曝露することにより、気道および肺胞構築が破壊され進行性の気流制限を呈する難治性呼吸器疾患であり、世界的死因の第3位である。安定期COPD患者は、ウイルス感染等を契機としてCOPD増悪を呈し、呼吸機能低下、生命予後悪化を来す。しかしこの病態の分子生物学的理解は不十分であり、COPD増悪を予測するバイオマーカーを開発し、呼吸機能低下の進行を抑制するCOPDの疾患修飾薬を創出することが急務である。 COPDにおいて、肺胞マクロファージ (alveolar macrophage, AM) は炎症性サイトカインの過分泌による慢性炎症持続化、プロテアーゼ産生による肺気腫化の原因となることが知られている。しかし、COPD肺におけるすべてのAMに機能異常が認められるのか、COPDの増悪や進行に関与する特定のサブセットが存在しているかは不明である。このような背景から本研究課題における問いは「COPDにおいて、増悪や病態の進行に関与する特定のAMサブセットが存在するのか、もし存在するのであれば、どのような分子基盤を形成し、どのような機能変化を生じているのか」である。このような病態に直接関与するAMサブセットを同定できれば、COPDの増悪や進行のバイオマーカー同定、疾患修飾薬創出の理論的基盤の構築が可能になると期待される。 初年度の研究では、Siglec-1陰性AMの表面マーカーについて蛋白発現を検証し、CCR2、CCR5等の発現を検証し、肺機能検査との相関を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肺癌のために肺葉切除を行ったCOPD患者の非癌肺組織から単一細胞懸濁液を作成した.フローサイトメトリー (FCM) を用いCD45+CD14-CD206+細胞としてAMを同定した. Siglec-1-SSCloFSCloAMの選択的マーカー抽出のため,RNA-seq解析を行いFCMにて細胞表面蛋白発現を検証した.マーカー陽性AMと呼吸機能との相関を検討した.7名のCOPD患者由来肺組織を解析した RNA-seq解析からSiglec-1-SSCloFSCloAMの選択的マーカー候補としてCCR2,CCR5,CCR6,CCR7,CD1A,CD1C.CD80,IL6Rを同定した.FCM解析よりSiglec-1-SSCloFSCloAMにおけるCCR5陽性の割合が最も高く94.8±7.5 %(mean±SD)であり%FEV1と負の相関を示した(ピアソン相関係数=-0.76,P=0.048).
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今後の研究の推進方策 |
Siglec-1-FSClow AMのRNAシークエンス解析から、本細胞では、他AMサブセットと比較し、NFκB、JAK-STAT、PI3K-AKT等の細胞内シグナル伝達経路が亢進していた。そこで、本研究では、上述した培養系を用い、これらのシグナル伝達経路の阻害剤を添加することで、炎症性サイトカイン産生能、気腫形成性プロテアーゼ能を評価し、Siglec-1-FSClow AMの病原性たる機能異常にどのシグナル伝達経路が関与するのか明らかにする。
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