研究課題/領域番号 |
23K07627
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
藤井 伸治 岡山大学, 大学病院, 准教授 (60362977)
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研究分担者 |
遠西 大輔 岡山大学, 大学病院, 研究教授 (20825096)
豊岡 伸一 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (30397880)
杉本 誠一郎 岡山大学, 大学病院, 准教授 (40570148)
藤原 英晃 岡山大学, 大学病院, 研究准教授 (90743683)
清家 圭介 岡山大学, 大学病院, 助教 (20976427)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 閉塞性細気管支炎 / マクロファージ / 空間マルチオミクス解析 |
研究開始時の研究の概要 |
同種造血細胞移植後の閉塞性細気管支炎は、細気管支レベルの線維性増殖により内腔閉塞をきたす致死的な合併症であり、有効な治療法が確立されていない。本研究では、ドナー由来のマクロファージの関与に着目し、肺移植の切除肺組織を検体として空間マルチオミクス解析実施する。気管支に浸潤するマクロファージの遺伝子発現と形質変化を明らかにするとともに、線維化抑制の治療標的を探索し、最終的に移植後BOマウスモデルで予防・治療法を検討する。
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研究実績の概要 |
同種造血細胞移植後の閉塞性細気管支炎(BO)は、細気管支レベルの線維性増殖により内腔閉塞をきたす致死的な合併症であり、有効な治療法が 確立されていない。これまでの研究により、非可逆的な線維性変化の病態へのドナー由来のマクロファージの関与が示唆された。最近の報告で マクロファージによる線維化の機序は臓器および疾患ごとに異なることが示されているが、造血細胞移植後のBOにおける機序は不明である。 本研究では、肺移植の切除肺組織を検体とし、空間マルチオミクス解析を用いて細気管支に浸潤するマクロファージの遺伝子発現と線維化進行に伴う形質変化を明らかにし、線維化抑制の治療標的を探索することを目的とする。 2023年度は、まず造血細胞移植後BO患者の臨床情報抽出と摘出肺組織検体の選択を行った。病理組織で典型的なBOの組織像とマクロファージの浸潤が確認できる症例を選択した後、摘出肺の各肺葉ごとの所見をHE染色で確認し、空間マルチオミクス解析の実施可能な検体を選出した。 選択された症例においてFFPE検体の未染スライドを準備した。HE染色したパラフィン切片上で、UVで切断されるインデックスと、タンパク質識別用バーコードが付加されたオリゴを反応させ、GeoMXを用いて解析エリアを選択し、 エリア特異的に切断されたたんぱく質情報つきオリゴを回収し、nCounterでデジタル解析を試みた。現在、線維化に関与する遺伝子発現の解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
岡山大学呼吸器外科で2002年から2022年の間に施行された造血細胞移植後BO患者に関して、診療録および実際の病理像から、BOの典型的な組織像を有する3症例と、コントロールとして、病理像として正常部分を多く残した肺がん患者の2症例を選択した。BO患者に関してはブロック内にあるBO像についてはHE染色、マッソントリクローム染色、エラスチカワンギーソン染色、およびCD68の蛍光免疫染色にてステージングを行った。BO患者検体よりEarly-Lateまでの細気管支6箇所と、2箇所の正常細気管支、そしてコントロール患者検体の正常細気管支2箇所を含めた合計10ヶ所の細気管支を中心とした解析を行った。 線形混合モデルを用いてBOとコントロール検体との遺伝子発現の差異を示し、続いて有意な遺伝子に関してエンリッチメント解析を行った。Volcano plotで有意性の高い遺伝子を可視化したところ複数の遺伝子発現が亢進していることが示された。エンリッチメント解析にては、BO患者では細胞接着、白血球活性化、免疫応答などに関連する遺伝子発現が活性化していることが明らかとなった。 現在、さらに解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
BOに組織における発現亢進が確認された遺伝子において、既報より線維化との関連の可能性があると考えられたものの有無を検討する。候補となる遺伝子に関しては、他のBO検体を使用して免疫染色を行い、GeoMxで得られた結果の再現性を確認する。 結果の有意性がはっきりしない場合には、検体数を追加して空間マルチオミックス解析を実施するかを検討する。 候補遺伝子が得られた場合には、マウスのBOモデルにおいても発現亢進を認めるかを検討し、亢進が確認できた場合には、標的に対する抗体薬、分子標的薬によるBO発症予防効果あるいは治療効果を検討する。
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