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Vaspinによるミトコンドリア機能維持を介した抗老化と腎臓における意義

研究課題

研究課題/領域番号 23K07673
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分53040:腎臓内科学関連
研究機関岡山大学

研究代表者

中司 敦子  岡山大学, 大学病院, 講師 (00625949)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワード腎尿細管 / ミトコンドリア / 老化 / Vaspin / 腎臓 / 近位尿細管 / アディポカイン / 加齢
研究開始時の研究の概要

本研究ではVaspinによるミトコンドリア機能維持、また細胞・臓器の老化抑制、線維化抑制における分子機序の解明を、Vaspin遺伝子改変マウスや培養尿細管細胞を用いて明らかにする。Vaspinが相互作用分子であるGRP78やHSPA1Lを介してミトコンドリア機能を制御すること、また分泌型GRP78やHSPA1Lが腎尿細管の炎症や線維化を抑制する新規分子機構を解明し、加齢や併存疾患による腎機能低下を抑制する治療や予防法の開発に繋げたい。Vaspinは種々のオルガネラを統合的に制御する点で、多くの疾患や病態に対して応用可能な分子であると期待される。

研究実績の概要

酸化ストレスは老化を促進させる因子のひとつである。培養近位尿細管細胞(HK2細胞)を用いて過酸化水素 400μMで刺激すると、細胞周期停止マーカーであるp21やp53発現が増加し、Vaspin添加により抑制された。またH2O2によるTom20やp62の蓄積もVaspinにより抑制された。Mitotrackerでミトコンドリア形態を観察するとH2O2により断片化したaspect ratioが1に近いミトコンドリアが増加した。当初、ミトコンドリア融合に関わるMfn2についてH2O2による減少を予想していたがH2O2によりMfn2増加が認められた。Mfn2はミトコンドリアと小胞体の接着にも関与することからSplit-GFPシステムにより両オルガネラ接着を検討するとH2O2により接着が増加し、Vaspinにより軽減された。小胞体からミトコンドリアへのCa2+流入の増加はアポトーシスを誘導するが、H2O2によりBax発現が増加し、Vapsinはこれを抑制した。また動脈硬化や線維化は腎虚血と関係が強いが、DFOで低酸素を誘導するとミトコンドリアは断片化が進みMfn2蛋白量が減少したが、Vaspinはこれらを回復させた。
我々の先行研究においてVaspinの作用機序の一部にはHSPA1Lが関与していた。HSPA1LはParkinやHIF1αと複合体を形成することやマイトファジーを促進する既報が存在する。今回、新たにHSPA1Lと複合体を形成する分子を見出し、ミトコンドリアダイナミクスに関与する可能性を示唆する結果を得た。またDFOによる低酸素誘導はHSPA1L蛋白量を減少させた。さらにVaspinがHK2細胞においてもAMPKを活性化させ、これは我々が以前肝細胞で検討した結果と同様であった。これらの結果をもとにVaspinの老化抑制についてin vivo検討を現在進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

酸化ストレスや低酸素によるミトコンドリア形態変化をVaspinが軽減することを確認できた。またVaspin-HSPA1L経路とミトコンドリアダイナミクスを繋ぐ分子のひとつを同定できた。

今後の研究の推進方策

Vaspin遺伝子改変マウスを用いて高齢マウスを作成飼育中である。2年の時点で腎組織を採取して老化マウスミトコンドリアや線維化におけるVaspinの作用を明らかにする。
ミトコンドリア機能や老化におけるVaspinの作用意義や分子機序の解明を進める。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] GRP78 contributes to the beneficial effects of SGLT2 inhibitor on proximal tubular cells in DKD2024

    • 著者名/発表者名
      Nakatsuka Atsuko、Yamaguchi Satoshi、Wada Jun
    • 雑誌名

      Diabetes

      巻: 73(5) 号: 5 ページ: 763-779

    • DOI

      10.2337/db23-0581

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Inhibition of Amino Acids Influx into Proximal Tubular Cells Improves Lysosome Function in Diabetes2024

    • 著者名/発表者名
      Kano Y, Yamaguchi S, Mise K, Kawakita C, Onishi Y, Kurooka N, Sugawara R, Albuayjan HHH, Nakatsuka A, Eguchi J, Wada J.
    • 雑誌名

      Kidney360.

      巻: 5(2) 号: 2 ページ: 182-194

    • DOI

      10.34067/kid.0000000000000333

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 近位尿細管細胞のホメオスタシスーVaspin/GRP78研究の展開ー2023

    • 著者名/発表者名
      中司敦子
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 基礎研究から見えてくるSGLT2阻害薬への期待2023

    • 著者名/発表者名
      中司敦子
    • 学会等名
      日本糖尿病学会中国四国地方会第61回総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 糖尿病性腎症における近位尿細管細胞のオルガネラ機能不全2023

    • 著者名/発表者名
      中司敦子
    • 学会等名
      第38回日本糖尿病合併症学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 腎症進行予防のためのチーム医療2023

    • 著者名/発表者名
      中司敦子、四方賢一、和田淳
    • 学会等名
      第57回糖尿病学の進歩
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 新規CKD治療薬と糖尿病性腎症 SGLT2阻害薬と近位尿細管機能2023

    • 著者名/発表者名
      和田淳、中司敦子、三瀬広記
    • 学会等名
      第34回日本糖尿病性腎症研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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