研究課題/領域番号 |
23K07712
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
|
研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
高士 祐一 福岡大学, 医学部, 講師 (50803524)
|
研究分担者 |
川浪 大治 福岡大学, 医学部, 教授 (50568889)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | リン / FGFR1 / 線維芽細胞増殖因子受容体1 / 線維芽細胞増殖因子23 / 慢性腎臓病 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、①リンによるFGFR1のリン酸化機構の解明、②FGFR1によるリン感知がいかに生命の維持に寄与しているのかを明らかにすることを目的とする。本研究により、生体のリン感知機構の全容を解明することができれば、同定したリン感知機構の構成因子をターゲットとした創薬研究へと展開できる可能性がある。これにより、本邦に1,330万人もの罹患患者がいるとされる慢性腎臓病患者に向けて、心血管疾患の発症を抑制し、健康寿命の延伸を目指した新たな治療戦略の開発につながることが期待される。
|
研究実績の概要 |
リンによるFGFR1のリン酸化機構の解明に向けて、GFP-Trap法およびBio-ID(近位依存性ビオチン標識)法を用いたLC-MS/MS解析から、リンによるFGFR1のリン酸化を媒介する因子の同定を目指している。当該年度は、GFP-Trap法に用いるGFP付加FGFR1の安定発現UMR106細胞、およびBio-ID法に用いるFGFR1のC末端に大腸菌由来のビオチンリガーゼであるbirAを付加したFGFR1の安定発現UMR106細胞の作製と、LC-MS/MS解析に用いる細胞の選定の作業を行った。 第一に、GFP-Trap法について、GFP付加FGFR1の安定発現UMR106細胞の作製には既に成功している。本細胞を用いて、細胞外リン濃度を上昇させた時に、GFP付加FGFR1に結合する蛋白をLC-MS/MSで実際に解析したのだが、候補因子の同定には至らなかった。現在原因として、蛋白抽出法が最適でないことが明らかとなっている。すなわち、膜蛋白であるFGFR1を効率よく抽出することと、GFP蛋白の機能を損なわずに抽出することの両者を同時に達成するための抽出条件について、試行錯誤を繰り返している。 第二に、同時並行で進めているBio-ID法について、FGFR1のC末端に大腸菌由来のビオチンリガーゼであるbirAを付加したFGFR1の安定発現UMR106細胞を作製に新たに成功した。以後は、細胞外リン濃度を上昇させた時に、FGFR1に位置的・空間的に相互作用を示した蛋白をビオチン化により標識し、ビオチン-アビジン結合を利用して精製、LC-MS/MS解析に持ち込むことを進めていく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前述の、GFP-Trap法およびBio-ID法に用いるGFP付加FGFR1の安定発現UMR106細胞、およびFGFR1のC末端に大腸菌由来のビオチンリガーゼであるbirAを付加したFGFR1の安定発現UMR106細胞の作製には、当該年度までに成功している。さらに、前者のGFP-Trap法については、実際にLC-MS/MS解析を複数回実施するに至っており、概ね計画通りに進捗しているものと考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
GFP-Trap法について、膜蛋白であるFGFR1を効率よく抽出することと、GFP蛋白の機能を損なわずに抽出することの両者を同時に達成するための抽出条件に関する試行錯誤を今後も継続していく。Bio-ID法について、作製に成功したFGFR1のC末端に大腸菌由来のビオチンリガーゼであるbirAを付加したFGFR1の安定発現UMR106細胞を用いて、細胞外リン濃度を上昇させた時に、FGFR1に位置的・空間的に相互作用を示した蛋白をビオチン化により標識し、ビオチン-アビジン結合を利用して精製、LC-MS/MS解析を行う。TMT(tandem mass tag)法を用いて定量解析し、得られた候補蛋白の優先順位付けを行う。次いで、siRNAにより各候補因子をノックダウンし、real-time PCRによるリン応答性のGalnt3遺伝子の発現変化を指標に、候補因子を絞り込む。絞り込んだ候補因子について、リン応答性のFRS2αおよびERKのリン酸化への関与についてWestern blottingにより確認する。最終的に、FGFR1のリン酸化への関与をLC-MS/MS解析で評価する。
|