研究課題/領域番号 |
23K07717
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
横井 秀基 京都大学, 医学研究科, 講師 (90378779)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | ポドサイト / アルドステロン / ナトリウム利尿ペプチド / p38 MAPK / 血栓 / PAI-1 / 糸球体 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、糸球体係蹄内に血栓を生じさせるマウスモデルを用いて、主にポドサイト由来PAI-1に着目して血栓の形成機序について検討を行う。ポドサイト特異的ナトリウム利尿ペプチド受容体A(GC-A)&p38 MAPKノックアウトマウスに片腎摘、高食塩、アルドステロン負荷を行うと糸球体係蹄内血栓を生じることを見出してきた。このマウス糸球体をマイクロアレイで解析しPAI-1が上昇することを見出し、PAI-1中和抗体や阻害薬投与による糸球体係蹄内血栓を含む糸球体病変の変化を検討する。また培養ポドサイトと培養糸球体内皮細胞を用いることにより、PAI-1を含む分泌因子の機能解析を行う。
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研究実績の概要 |
ポドサイト特異的にナトリウム利尿ペプチド受容体であるGC-Aとp38 MAPKをノックアウトしたマウスに、高食塩負荷とアルドステロン投与(B-ALDO負荷)を行うと、糸球体係蹄内の血栓を生じ、高度腎機能障害を呈すことを見出していた。この機序を検討するために、糸球体マイクロアレイにより発現変化を検討したところ、Serpin1 (PAI-1)の発現がダブルノックアウトマウスで増加しており、本研究ではその意義を検討した。 B-ALDO負荷ポドサイト特異的GC-A & p38 MAPKダブルノックアウトマウスの腎臓でPAI-1の染色を行ったところ、糸球体内でPAI-1はネフリンと共局在しており、一方血管内皮マーカーであるCD31との共局在は少なく、PAI-1はポドサイトで発現亢進していることを同定した。次に、2か月齢のB-ALDO負荷ダブルノックアウトマウスにマウス抗PAI-1抗体もしくは正常マウスIgGの週2回腹腔内投与を行った。抗PAI-1抗体治療群は、糸球体内係蹄内血栓形成率が低下し、糸球体内へのfibrinogenの沈着が軽減しており、CD31とTie2の減弱が改善しており内皮細胞傷害の軽減が示唆された。 さらに、培養ヒトポドサイトと培養糸球体内皮細胞のtranswellを用いた共培養系で検討を行った。培養ポドサイトはMapk14 (p38 MAPK)をCRISPR/Cas9を用いてノックアウトし、GC-AはsiRNAを用いて抑制を行った。このp38 MAPKとGC-Aを低下させたポドサイトではPAI-1発現が亢進し、野生型糸球体内皮細胞ではTGF-β1の発現増加が認められた。さらにこのtranswellの系にPAI-1阻害薬TM5441を投与すると内皮細胞のTGF-β1発現上昇は低下し、内皮細胞における変化はPAI-1上昇によるものであることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
PAI-1中和抗体投与により、糸球体係蹄内血栓形成抑制効果がみられており、また細胞実験においても、transwellの系でPAI-1阻害薬の効果がみられており、計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後、PAI-1の意義を別のモデルも含め検討を行う。
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