研究課題/領域番号 |
23K07730
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
塚口 裕康 関西医科大学, 医学部, 講師 (60335792)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 疾患遺伝子 / tRNA / ポドサイト / ニューロン / 神経発達 / 難病 / 翻訳 |
研究開始時の研究の概要 |
腎糸球体硬化症(Focal Segmental Glomerulosclerosis FSGS)は、まれに中枢神経発達遅滞(小頭症)を合併する(Galloway-Mowat症候群:GAMOS、指定難病219)。海外GAMOSの40%に、遺伝的にグローバルな蛋白合成経路異常が関与する。すでに10種類以上の疾患遺伝子の報告があり、その一部は機能的に複合体を形成して機能する。しかし本邦GAMOSの約90% は、原因が不明である。GAMOSの分子機序として、生命現象を支える蛋白翻訳の制御に注目し、腎・神経の2系統の発達を障害する未知の疾患遺伝子群の同定を目指す。
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研究実績の概要 |
腎糸球体硬化症(Focal Segmental Glomerulosclerosis FSGS)は、まれに中枢神経発達遅滞(小頭症)を合併する(Galloway-Mowat症候群:GAMOS、指定難病219)。GAMOSは、腎糸球体硬化症(ネフローゼ症候群)と小頭症(てんかん、精神運動発達遅滞)を2主徴とし、顔面・四肢奇形を合併する指定難病である。1968年にGallowayとMowatがネフローゼ症候群、小頭症、食道裂孔ヘルニアの3主徴を伴った同胞例を報告し、以降100数例のGAMOSが報告がされている。これまでGAMOSは臨床症状および病理組織学的に多様性のある疾患群で、臨床診断はしばしば困難であった。2017年に91患者の国際共同研究で、tRNA修飾に関わるKEOPS複合体を構成する遺伝子群が原因であることがわかった。海外GAMOSの40%に、遺伝的にグローバルな蛋白合成経路異常が関与する。すでに10種類以上の疾患遺伝子の報告があり、その一部は機能的に複合体を形成して機能する。しかし本邦GAMOSの約90% は、原因が不明である。GAMOSの分子機序として、生命現象を支える蛋白翻訳の制御に注目し、腎・神経の2系統の発達を障害する未知の疾患遺伝子群の同定を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本症では遺伝学的原因により多くの症例で出生前から神経や腎糸球体など高度に分化した細胞突起がネットワークを構築する臓器の形成不全、発達障害を生じている。最近数年間のGAMOSの国際ゲノム研究の進歩で、約40% の症例で細胞レベルのtRNA修飾異常があり、発達段階に必要な蛋白合成プロセスの正確性や効率低下を来していることがわかった。しかし残る60% の原因は不明である。国内のGAMOS研究班が収集したGAMOS20例で、原因遺伝子を同定しえた2例ではいずれも、家族例であった(NUP133, LAGE3)。我が国のGAMOS症例のほとんどが孤発性で、KEOPS複合体遺伝子が同定されておらず、未解決で研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
我が国のGAMOS症例の疾患遺伝子を探索するために、まず2024年度は(1) 新たな症例収集、(2) これまでに収集済の症例の再解析、(3) 疾患マーカーの探索を、並行して行う。 ① 症例収集 GAMOS臨床診断基準は、小児慢性特定疾病(2021年第1版)に準拠する。先行研究で約20症例収集しているが、新たな症例も本学と関連施設の共同研究者とも協力して調査する。調査の際には、家族歴、成長曲線、生化学データ(腎機能)、頭部画像MRI, CTデータ、Dysmorphismについても情報を収集する。特徴的な顔貌(前頭部突出,前頭部狭小,眼間乖離,内眼角贅皮,眼瞼下垂,斜視,大きくて柔らかい耳,耳介低位,わし鼻,鼻根部扁平,目立つ唇,長い人中,高口蓋,小顎症など),手指・関節の小奇形(くも指,彎指趾症,屈指症など)について、情報を収集してデータベース化する。 ② 再シークエンス解析 すでにエクソーム解析を実施したが診断未確定の症例についてトリオ血液検体(両親、患児)の全ゲノムNGS解析する(Macrogen)。また最新のヒトゲノム参照配列GRCh38.p14、疾患遺伝子データベース(HGMD)、ClinVar、既報の論文等を参考にして、再フィルター化を行う。またLong-Read シークエンスを併用して、これまで検出できなかった大きな構造変異、リピート異常、Haplotype Phase 決定も試みる。
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