研究課題/領域番号 |
23K07762
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
室 慶直 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (80270990)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 自己抗体 / アミノアシルtRNA合成酵素 / 抗OJ抗体 / 自己免疫 / エピトープ / 抗ARS抗体 / 自己免疫エピトープ / 分子相同性 |
研究開始時の研究の概要 |
6種類(LARS、SARS、WARS、YARS、CARS、VARS)の全長cDNAを用い、in vitro転写翻訳システムによるビオチン化リコンビナント蛋白を作成、ELISA、免疫沈降における抗原として使用する。約750名の患者血清を用いてin-house超高感度ELISAを行い、抗ARS抗体の臨床的意義の全貌を明らかにする。 健常人血清プールを用いたプレパニング、抗OJ抗体陽性血清プールを用いたパニングを繰り返すことにより抗OJ抗体のcryptic epitopeの発見を目指す。既知のウイルスタンパクとの相同性を有する配列については合成ペプチドで反応性を確認し、分子相同性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
筋炎特異的自己抗体が皮膚筋炎の病型分類に非常に役立っており、最近ではSARS-CoV-2感染後に、高頻度に出現する抗体としても報告されている。中でも抗ARS抗体は複数のアミノアシルtRNA合成酵素に対する抗体で抗Jo-1抗体のように発見からの歴史はあるものの、特に同定が困難な抗OJ抗体については解析が進んでいない。 2021年に申請者が発表した抗OJ抗体の新規測定法により、今年度の研究で新たに見出した陽性例を加え、これまで18例の抗OJ抗体を見出すことに成功している。これらの患者血清と培養細胞から部分精製したOJ抗原(未発表)を用いたイムノブロットにより、OJ抗原を構成する各アミノアシルtRNA合成酵素に対する反応性を確認したところ、微弱な反応しか認めない血清が半数以上を占めることから、抗OJ抗体のエピトープは従来言われているように、複数の合成酵素から成る立体構造依存性のエピトープが重要であることが確認された。この立体構造依存性のエピトープを同定していく実験として、ファージ ディスプレイ ライブラリーのスクリーニングを今後進めていくが、その際に必要な患者血清数として、上記の18例は貴重な材料となる。 また抗OJ抗体の同定と並行して進めている他のアミノアシルtRNA合成酵素に対する抗体検索において、これまで2005年に学会報告されて以来、世界的にも殆ど報告の無い抗ARS抗体のうちの抗Ha抗体について、確実な抗体陽性例を独自の検出系を用いて見出した。症例は関節リウマチと乏筋症性皮膚筋炎の重複症候群で抗ARS抗体症候群に比較的特徴的な間質性肺炎を有した。これまでの抗Ha抗体陽性の報告例をまとめて比較検討を行い、論文発表した(Autoimmun Rev. 2023;22:103403)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
抗OJ抗体の立体構造依存性エピトープの同定をする目的で、ファージディスプレイライブラリーを用いた自己免疫エピトープとなるペプチド配列の探索を行うことを可能にさせるだけの抗体陽性血清を獲得することができた。
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今後の研究の推進方策 |
市販のファージエピトープライブラリーを用いて、健常人血清プールを用いたプレパニング、抗OJ抗体陽性血清プールを用いたパニングを繰り返すことにより抗OJ抗体の立体構造依存性エピトープの発見を目指す。
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