研究課題/領域番号 |
23K07785
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
白石 研 愛媛大学, 医学部附属病院, 准教授 (80710863)
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研究分担者 |
池田 善久 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 准教授 (00735318)
神野 雅文 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (30274335)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2027年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 非平衡大気圧プラズマ / 尋常性乾癬 |
研究開始時の研究の概要 |
非平衡大気圧プラズマを乾癬の治療に応用することを目的とする。プラズマを培養角化細胞、マウス皮膚へ照射し、乾癬モデルへの治療効果を明らかにし、従来の紫外線治療に代わる「プラズマ照射療法」を開発する。更に、培養細胞系では、プラズマを照射した培養液にも活性化物質による間接的作用があることが明らかになっている。そこで、プラズマを照射した活性化培養液の作用、成分解析、乾癬モデルへの治療効果を明らかにし、従来のバスPUVA療法に代わる新規治療法「プラズマ浴」を開発する。
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研究実績の概要 |
愛媛大学理工学部プラズマ学に所属する研究分担者の協力のもと、本実験に適したプラズマ照射条件(照射間隔、電圧、波長など)を検討し、ディッシュに播種した角化細胞に均等に照射できるように照射器の改良を行った。培養角化細胞にプラズマを直接照射すると、照射部位の細胞は24時間後には大半が死滅したが、非照射部位の細胞も大半が死滅することが確認された。このことから、プラズマには直接照射以外の間接的な作用で細胞に影響を与えている可能性が考えられ、プラズマで処理した培養液に注目した。プラズマ発生装置から1.5cm離した部位から、0‐30分の異なる時間で照射し回収した培養液を用いて、角化細胞の生存率を確認した。96ウェルプレートに同数の角化細胞を播種し、24時間通常培養を行った後に、上記のプラズマ処理培養液で培地を交換し、24-72時間後の増殖能をCCKアッセイで評価した。その結果、照射時間依存性にプラズマ処理培養液で角化細胞の生存率(増殖)が低下した。しかし、照射1分以内であれば、角化細胞の生存率はほぼ100%を維持することができた。次に、トランスウェルおよびscratchやストッパーを用いたマイグレーションアッセイを行った結果、いずれもプラズマ処理培養液に暴露された角化細胞では遊走能の低下が認められた。そこで、プラズマで処理された培養液中で何が起こっているのかを検討した。プラズマ照射培養液中の温度やPHは大きく変化しないこと、添加した血清には影響を与えないこと、凍結保存でも再使用が可能であること、冷蔵保存では数週間で効果が減弱すること、などを確認した。現在は、培養角化細胞を用いた乾癬モデルに対してプラズマ照射を行い、乾癬にかかわるサイトカイン、増殖因子、抗菌ペプチドなどの発現がプラズマ照射で抑制されるかをRT-PCR, Western blot, ELISA 等で確認している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの研究で、プラズマ照射後の培養角化の生存率、増殖能、遊走能等について評価し、細胞障害性でない最適な条件を決定することができた。また、随時、プラズマ発生装置の改良を行い、本実験の遂行に最も適した照射方法を決定することができた。現在は培養角化細胞を用いた乾癬モデルに対してプラズマ照射を行い、乾癬にかかわるサイトカイン、増殖因子、抗菌ペプチドなどの発現がプラズマ照射で抑制されるかをRT-PCR, Western blot, ELISA 等で確認している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、培養角化細胞を用いた乾癬モデルに対してプラズマ照射を行い、乾癬にかかわるサイトカイン、増殖因子、抗菌ペプチドなどの発現がプラズマ照射で抑制されるかをRT-PCR, Western blot, ELISA 等で確認する予定である。また、乾癬モデルマウスに対するプラズマ照射も予定している。6-8週齢のマウス背部皮膚を剃毛してイミキモドクリームを5日間連続で塗布し、組織学的に乾癬の病変を形成していることを確認した後に、プラズマを照射する。その後の病変部の変化を肉眼的にスコア化し、経時的に軽快することを確認する。さらに病理組織学的にも病変が軽快することを経時的に観察する。軽快した後も再発の有無を長期間観察する予定である。
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